岩波新書<br> 村上春樹は、むずかしい

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岩波新書
村上春樹は、むずかしい

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  • サイズ 新書判/ページ数 259p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004315759
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C0293

内容説明

はたして村上文学は、大衆的な人気に支えられる文学にとどまるものなのか。文学的達成があるとすれば、その真価とはなにか―「わかりにくい」村上春樹、「むずかしい」村上春樹、誰にも理解されていない村上春樹の文学像について、全作品を詳細に読み解いてきた著者ならではの視座から、その核心を提示する。

目次

第1部 否定性のゆくえ1979‐87年(否定性と悲哀―『風の歌を聴け』の画期性;戦う小説家―初期;個の世界―前期)
第2部 磁石のきかない世界で1987‐99年(対の世界―中期;時代とのせめぎあい―転換期)
第3部 闇の奥へ1999‐2010年(父と子の基軸―後期)

著者等紹介

加藤典洋[カトウノリヒロ]
1948年山形県生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。現在、文芸評論家、早稲田大学名誉教授。『言葉表現法講義』(岩波書店、第10回新潮学芸賞)。『敗戦後論』(ちくま学芸文庫、第9回伊藤整文学賞)。『小説の未来』『テクストから遠く離れて』(朝日新聞社/講談社、両著で第7回桑原武夫学芸賞)など、多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

132
英米の書店で村上春樹の翻訳本は表紙に「MURAKAMI」と大書され、クライトンやグリシャムと並んで平積みされている。日本では村上作品を認めない空気が強かったし、本書冒頭にあるように東アジア知識層にも読まれていない。洋の東西を問わず大衆は村上を求める理由を、著者は時代の支配的風潮に抗って生きる者のあがきに見る。確固とした理想も目標もなく、連帯できない社会に迎合するしかない無力な自分への憤懣を、村上文学の「個の欠落」に見い出しているのだと。ならば村上の読者はトランプ支持者やネトウヨと共通しているのではないか。2024/02/18

アキ

88
2015年発刊なのでデビュー作から色彩を持たない多崎つくると彼の巡礼の年までの評論。こうして小説を連なりで眺めてみると村上春樹がいかに時代と関わりながら変遷してきたかがよくわかる。初期・風の歌を聴けから前期・世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド、中期・ねじまき鳥クロニクル、後期・1Q84そして2009年の父の死と現在を、個(点)・対(横軸)・父と子(縦軸)という観点で論じる内容は、いくつかの疑問や隠喩・換喩を溶かしてゆく心地よさを感じました。現在72歳の村上春樹氏、集大成の長編をお待ちしております2021/02/06

佐島楓

55
とてもよかった。評論文の書き方の勉強になったし、指摘も鋭い。吉行淳之介は春樹さんのことを高くかっていたということを初めて知った。2016/03/20

抹茶モナカ

40
真っ当な村上主義者は「村上春樹解説本」の類は読むべきではない、と、されているが、ついつい読んでしまいました。加藤典洋さんの読み方は、ちょっと深読みと思い込みの傾向が昔からあるような気がしていて、でも、断定口調の文章なので、「村上春樹イエローページ」なんかで嫌な感じがしていたけれど、読んでみました。小説の解釈に正解はないとして、一つの読み方としては有効な解説が並びつつ、う~ん、出来れば、村上作品は浴びるようにして読んで、心が揺れる感じが好きなので、ここまで断定されたりするのは、やはり、嫌いですね。2016/09/29

aloha0307

38
「村上春樹は、むずかしい」と読み手を引きよせておいて、表題とはかかわりなく温かい敬意に満ちた村上春樹評でした(私ではとてもかなわぬ作品の深堀り解釈も)📕 日本でも、中国・韓国でも文芸の玄人にはなぜか冷淡な評価をされがち(若造りをやめないからだそうです)な村上文学を、(彼らへの反論もこめて)春樹さん自身の意思はともかく日本文学の伝統の流れを汲んでいるものであることをはっきりと提言しています🌸2021/09/11

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