岩波新書
遺骨―戦没者三一〇万人の戦後史

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  • サイズ 新書判/ページ数 203,/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004315452
  • NDC分類 369.37
  • Cコード C0236

出版社内容情報

沖縄で、硫黄島で、南洋諸島で、シベリアで、いまも親族の遺骨を探し続ける人々がいる。空襲や原爆では、身元不明のまま、多くの市民が「仮埋葬」されたが、その後はどうなったのか。戦争の結果、「遺骨」となった310万人の「未完の戦後」を探るルポ。戦争とは? 国家とは? 「遺骨」から日本の戦後が見える。

内容説明

沖縄で、硫黄島で、南洋諸島で、シベリアで、いまも親族の遺骨を探し続ける人々がいる。空襲や原爆では、身元不明のまま、多くの市民が「仮埋葬」されたが、その後どうなったのか。戦争の結果、遺骨となった三一〇万人の「未完の戦後」を現地に探ったルポ。戦争とは?国家とは?遺骨から日本の戦後が見える。

目次

第1章 首都東京・足元の遺骨(のどかな公園で;甘かった被害想定;大空襲の犠牲者はどこへ行ったのか ほか)
第2章 激戦地・硫黄島で(戦略上の要衝;圧倒的戦力差のなかの戦い;菅政権下の「成果」 ほか)
第3章 沖縄・広島・長崎の死者たち(「沖縄戦」戦死者の出身地;残るのは三二〇九柱?;開発の波 ほか)
第4章 遺骨収容の戦後史(日清、日露戦争と戦没者遺骨;戦争まみれの大日本帝国を象徴する墓地;「戦陣訓」―のたれ死にの教え ほか)
第5章 戦没者慰霊の国際比較(骨にこだわるのは日本文化ゆえか;すべて母国に帰還を―アメリカ;関係悪化の北朝鮮でも ほか)
第6章 日本の「戦後」を問い直す(戦後七〇年を前に;「満州国」の墓標;荒野に実るリンゴ ほか)

著者等紹介

栗原俊雄[クリハラトシオ]
1967年生まれ。東京都出身。早稲田大学政治経済学部政治学科卒、同大学大学院政治学研究科修士課程修了(日本政治史)。1996年、毎日新聞入社。横浜支局などを経て、毎日新聞東京本社学芸部記者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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nnpusnsn1945

45
太平洋戦争の戦没者の遺骨は未だ多く残されている。もう70年以上も経っているからか、土に還った物や、海没、政治的な事情でややこしい所(中国、北朝鮮)にあって回収しきれないのは決定的である。が、無視するわけにもいかない。前線の将兵にせよ、空襲の犠牲になった民間人にも遺族がいるのだ。時折著者の大日本帝国や戦後の日本政府の批判が入っている。邪魔と感じるかもしれないが、的を射ている。適当な国策の末路が今の状態を作ったのは言うまでもない。2021/02/19

壱萬参仟縁

35
東京大空襲で米軍は、武器を持たない非戦闘員を焼き尽くした(23頁)。見つかった骨は、刷毛で土砂を落とす、洗骨をする(47頁)。硫黄島:自衛隊基地以前に、平和時に暮らす人がいて、戦時下に多数の日本人が死に、今も眠る場所(64頁)。無縁遺骨問題も(104頁)。戦陣訓の戒め:捕虜になるのは、不名誉なこと。捕虜になる前に死ね(121頁)。恥の文化? 日本人の骨に対する執着の強さ(158頁)。母の遺骨は、嫁ぎ先の墓には入りたくないと生前よく聞かされてきた。2015/08/14

モリータ

9
◆2015年、記事を再構成・加筆して刊。著者(1967-)は毎日新聞記者。硫黄島ほか収容にも参加。構成;東京空襲、硫黄島、沖縄・広島・長崎の遺骨収容の状況(1-3章)。遺骨収容の戦後史(4章)、英米の戦没者慰霊(5章)、その他地域の収容状況、法整備の状況(6章)。情報量は多くないので詳しい話は別書。◆戦没者240万のうち約半数の遺骨が未収容(125頁図)。政府の遺骨収容には2度の空白。一つは敗戦後1952年まで。同年から調査団が派遣されるなど「第一次計画」による収容が行われるが、ごく一部を帰還させる(続2022/08/03

CTC

9
著者は毎日新聞学芸部記者。昭和史について幾つか著作があり、既読のものもあるのだが、刮目した次第。著者は、“尊い犠牲の上に我々の今日の繁栄がある”式の追悼に「何の異議もない」という。しかし「するべきことがあるだろう」と。筋である。まさしくだ。美辞は責任の所在を曖昧にする「呪文」にもなりかねない、とも記し、自身も遺骨を掘る。仕事でも、かような著作活動でも十分に「するべき」をされているであろうに。。先の大戦での戦没者240万(内地除く)のうち、実に112.8万の方の遺骨が未だ戦地にあるという。私もいずれ必ず。。2015/07/08

sasha

8
経済白書が「もはや戦後ではない」と記述したのは1956年。しかし、本来家族の下へ還るべきだった多くの遺骨が戻れずにいる現状を考えると、敗戦から何年、何十年経とうとも戦後は終わっていやしない。海外で亡くなった兵士はもとより、東京大空襲や広島と長崎への原爆投下の犠牲者、敗戦により大陸や朝鮮半島に取り残されて帰国を果たせなかった人々。既に土に還ってしまった遺骨もあるのだろうが、わずかでも土の下に眠ったままの遺骨をきちんと弔うことが出来ないものだろうか。2015/08/17

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