目次
第1章 保育の現場は、今(地獄地図のような光景;エプロン・テーブルクロス ほか)
第2章 保育士が足りない!?(いきなり一歳児の担任に;ひたすら慌ただしい毎日 ほか)
第3章 経営は成り立つのか(徹底したコスト削減;狙われる人件費 ほか)
第4章 共働き時代の保育(共働き世帯が増加するなかで;「働かなければ育てられない」のループ ほか)
第5章 改めて保育の意味を考える(人気取りの待機児童解消;消費税バーターというやり方 ほか)
著者等紹介
小林美希[コバヤシミキ]
1975年茨城県生まれ。水戸第一高校、神戸大学法学部卒業後、株式新聞社、毎日新聞社『エコノミスト』編集部記者を経て、2007年よりフリーのジャーナリスト。若者の雇用、結婚、出産・育児と就業継続などの問題を中心に活躍。2013年、「「子供を産ませない社会」の構造とマタニティハラスメントに関する一連の報道」で貧困ジャーナリズム賞受賞。著書に『ルポ 正社員になりたい』(影書房、2007年、日本労働ペンクラブ賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
304
「崩壊」はやや過剰な表現だが、保育が危機的な状況にあることは確か。特に規制緩和にともなって株式会社立の保育園が急増するに及んで、これまでは潜在化していた問題が噴出してきた感がある。本来、保育園は儲かるものではなかったはずなのに、会社組織が次々と参入してきた。彼らの目的は当然、「保育」にはなく「儲ける」ことにある(例外はあると思うが)。そして、もっとも手っ取り早いのが人件費の削減。そうすると、保育士の労働環境はさらに悪化する。経済的にも労働量の上からも。また、何よりもそんな環境におかれた子どもたちが不幸だ。2016/10/22
優希
72
叔母が母に渡した本を拝借して読みました。保育の現場の厳しい状況と、質の低下を感じます。ただ、今の状況は保育システムそののみならず、保育士への待遇によっても生み出されていると思いました。まずは根本的なところから見直すべきでしょう。ちょっとこの人の書き方は自分の意見の押しつけのようで、公平さがないような気がするので、全てを鵜呑みにするのも危険かもしれません。ただ、現状は書かれていることに近いのは確かでしょう。2015/11/23
リキヨシオ
31
保育園落ちた日本死ねのブログで注目が高まった待機児童問題。待機児童だけじゃなく、保育士の悪い労働条件や過酷な労働環境は本当に深刻な中で政府側は待機児童の数値を減らす事しか考えてないと思う。だから中身のないお役所対応が色々な波紋を呼んでいる。保育士の増加、保育士の教育、保育士の待遇改善、建設予定地の選定、保育所の増加、保護者の理解、周辺住民との話し合い…などを同時に行わないと本当の待機児童の解消にはつながらないと思った。離職の2大理由の給料が安いと仕事量が多い。そして保育士自身の職場流産…驚きの実態だった。2016/05/17
じぇりい
30
新聞の広告を見て絶対に読んでみたいと思った本。久々の新書(⌒-⌒; )「保育の現場は、今」「保育士が足りない⁉︎」「経営は成り立つのか」「共働き時代の保育」「改めて保育の意味を考える」の五章から成る。一章、二章は共感しまくり。基準緩和って言葉だけ見るといい方に捕らえられがちだが、狭いスペースにさらに増える子供達。待機児童解消0と聞こえは良いが保育の質は低下するのが目に見えている。現場を知らない上の人たちの机上の政策。これでは預ける親も、預かる側もそして何より子供たちがかわいそう。2015/05/31
katoyann
28
保育士の窮状と保育の質の劣化について「規制緩和」や「民営化」などに代表的な新自由主義的政策にその要因を求めている。保育士の平均年収が低いこと(200万〜300万)は周知の事実だが、要は保育予算の一般財源化に伴い、関連する補助金が打ち切られ、そこに規制緩和が加わることにより、保育の労働条件と質が悪化したという。例えば、保育業界に株式会社が参入したが、利益追求を優先するため、保育スタッフの多くを非正規で雇う。そのため時間給の感覚で関わる保育士が増え、保育の質が劣化する。新自由主義の欠陥がよく分かるルポだ。2022/01/28