岩波新書<br> 生活保護から考える

電子版価格
¥792
  • 電書あり

岩波新書
生活保護から考える

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 新書判/ページ数 222p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004314592
  • NDC分類 369.2
  • Cコード C0236

内容説明

すでに段階的な基準の引き下げが始まっている生活保護制度。社会保障制度の、そして生きるための最後の砦であるこの制度が、重大な岐路に直面している。不正受給の報道やバッシングのなか、どのような事態が起ころうとしているのか。当事者の声を紹介するとともに現場の状況を報告、いま、何が問題なのか、その根源を問う。

目次

第1章 崩される社会保障の岩盤(「働いた者がバカを見る制度」なのか;猛暑の夏に起こったこと ほか)
第2章 届かない叫び声(切符を渡されて、たらい回しに;厚労省による是正指導 ほか)
第3章 家族の限界(親族間の暴力と支配;「私」を、「親密」と「個」に ほか)
第4章 当事者の一歩(当事者が声をあげられない;親の介護のための離職 ほか)
第5章 問われる日本社会(自民党議員による人権制限論;小野市の福祉制度利用者「監視」条例 ほか)

著者等紹介

稲葉剛[イナバツヨシ]
1969年広島生まれ。東京大学教養学部卒業。94年より、新宿において路上生活者支援の活動に取り組む。2001年、湯浅誠氏らとともに、自立生活サポートセンター・もやいを設立。現在、理事長。生活保護問題対策全国会議幹事。住まいの貧困に取り組むネットワーク世話人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

この商品が入っている本棚

1 ~ 2件/全2件

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

どんぐり

51
保護費の不正受給の防止を柱とする改正生活保護法がこの7月1日に施行された。主な改正点は福祉事務所の調査の権限を広げるほか、不正受給の罰金額の上限を30万円から100万円に引き上げ、家族の扶養義務も強化することで、年々増え続ける生活保護費を抑えるというものだ。この親族の扶養義務が強化されれば、どういう事態が起こるのか。生活保護世帯出身の子どもたちが親から離れ、経済的に独立したとしても、年老いた親が生活保護から抜けられる可能性はあまりない。生活保護家庭出身の子どもは、成人して独立しても「親の扶養義務」から抜け2014/07/29

バトルランナ-

32
否定的な気持ちで読んでやろうと思っていたのに素直に読み終わってしまった。(-_-;)今野晴貴氏の著書の影響も多分にあります。『生保の利用者が自分の生活費の中から電話代を支払ってスマホを利用することの何が悪いのか私にはまったく理解できませんでした』以外は良かった。以下が心に残ったフレーズです!世帯主学歴別生保中卒、高校中退72.6%P19お金を借りた場合は収入と見なすP33ケースワーカー一人当り93世帯→水際作戦P49北九州市の300億円ルール。2014/09/16

たる

25
民法の扶養義務化に代表されるような絆原理主義の怖さを思い知った。東日本大震災の後にしきりに取り上げられる「絆」を材料として、DVや虐待等の社会問題を私的領域に隠してしまう。子ども貧困対策基本法や障害者総合支援法の理念の「社会全体で支える」というフレーズに逆行するものだと感じてしまう。生活保護基準の引き下げ、老齢加算の廃止の根拠をもう一度目にしてほしい。どれだけ悪意に満ちたデータからしぼりだしているかがよくわかる。2016/02/07

aika

24
知らず知らずのうちに、私自身も生活保護に対するスティグマが芽生えていたかもしれないと気づかされました。生活保護は、健康で文化的な最低限度の生活を営むために私たち国民が有している大切な権利です。そして、人間が人間らしく生きるために必要な経済的基盤を支える重要な制度のひとつであるはずなのに、本当に経済苦で困窮している方々がどこか後ろめたい気持ちで生活保護を受給しているのはやはりおかしいと思いました。貧困の連鎖、つまり生まれ育った環境の違いで人生が大きく左右されるなんて絶対に間違っています。考えさせられました。2014/11/08

AICHAN

23
図書館本。近代国家では当然の権利になっている生活保護。日本ではこの言葉はマイナスイメージでしかない。受給者は「社会のクズ」と見られる。マスコミは不正受給に関することしか取り上げない。生活保護を受けるべき貧困世帯も世間のその“目”を恐れて申請を躊躇する。申請したくても役所の“水際作戦”によって撃退される。撃退成功率の高い自治体を厚労省は表彰する。自民党政権は国連の改善勧告を受けてもこの水際作戦を合法化しようとし生活保護費を減らそうとしている。この国で生活保護を受けるのが難しい実態が見事に指摘されている。2016/05/13

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/7686498
  • ご注意事項