出版社内容情報
西洋において，プラトンの哲学が後世に大きな影響を与え続けているが，日本においてそのような存在はいるのだろうか？ 空海について思索を重ねてきた著者は，空海思想の基本概念である「風雅・成仏・政治」を日本思想理解のための基本的な視点（基本系）と捉え，さまざまな事例を通して論ずる．斬新で刺激的な日本思想論．
内容説明
西洋において、プラトンの哲学が後世に大きな影響を与え続けているが、日本においてそのような存在はいるのだろうか？空海について思索を重ねてきた著者は、空海思想の基本概念である「風雅・成仏・政治」を日本思想理解のための基本的な視点（基本系）と捉え、さまざまな事例を通して論ずる。斬新で刺激的な日本思想論。
目次
序章 プラトンと空海
１章 風雅連綿―詩人として
２章 即身成仏へ―仏教者の教え
３章 報恩の政治学―密厳国土のために
４章 建物・道具・物語と基本系
５章 日本思想の基本系
終章 空海と現代日本
著者等紹介
篠原資明［シノハラモトアキ］
１９５０年香川県に生まれる。１９８０年京都大学大学院博士課程修了。専攻、哲学・美学。現在、京都大学教授（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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KAZOO
50
著者は、西洋の思想がプラトンを基点としているのに対して、日本の思想の基点はどこにあるのかということから空海までさかのぼっての論考です。確かにいわれてみるとそのような気がしてきます。論点としては面白いのですが、読んでいてやや断片的な感じがしました。詳しいところとそうでないところがあるような気がします。ただ面白い観点なので新書版ではなく本格的な分析を期待したいと思いました。2015/05/27
moonanddai
10
空海思想の基本概念を「風雅・成仏・政治」ととらえ、自然を友とし心を広げることを「風雅」、その広げた心を凝らす（凝縮）することを「成仏」、その凝らした心で四恩に報いることが「政治」であるとします。風雅は、ひとりの無常から始まり、それが皆の無常に広がりそこから生成が始まるという点や、空海の基本概念が、その後の西行や慈円、心敬、芭蕉そして西脇順三郎や宗左近といった詩人らの中で、どのように「変奏」されてきたかといった見方は面白かったのですが、哲学的、芸術論的な話で、私にはちょっと難しかったですね。2021/05/15
壱萬弐仟縁
10
善と美と正義（５頁～）。儒教、道教、仏教の優劣を展開（２８頁～）。無常観は、儒教と道教に優るとされる仏教（４４頁）。四恩とは、父母の恩、国王の恩、衆生の恩、そして仏法僧の恩（１００頁）。空海といえば、綜芸種智院（８２８年～）。この理念とは、学ぼうと志す者への平等主義は、「貴賤を論ぜず貧富を看ず」などにみられるようだ（１０６頁）。地・水・火・風・空・識の六大体大説（１７７頁）。空海の現代的意義とは、私塾で学びたいと考える人への場の提供。私も読書してその感想や意見を交わす場である、読書メーターで更に精進する。2013/11/15
森
9
図書館で借りた。初めのプラトン哲学うんぬんで躓き、今ひとつ感のまま流し読みですf^_^;) 記載内容に対して、そうなんですかー、といった感じです。こちらも基礎知識がないので致し方無い。残念。(ｰ ｰ;)2016/06/12
うえ
8
「風雅と美の接近する用例は見られる。十四世紀前半に成立した『風雅和歌集』の「真名序」には、「専ら正風雅訓を挙げて千載の美を遺さんと欲する者なり」…そうはいっても、ヨーロッパにおけるのと違い、わが国で美が諸芸術を統括するほどの役割を果たしたことは…なかったといってよい。ヨーロッパの場合…神の創造物である以上、世界が善くて美しくないはずがない。…ただ、『風雅和歌集』が…京極派歌人たちによりまとめられたことを思いおこすなら、別の意味で注目される。…そのリーダー格だった京極為兼は、空海に心酔しきっていたからだ」2020/01/22
