岩波新書
ヴァレリー―知性と感性の相剋

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  • サイズ 新書判/ページ数 197p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004312369
  • NDC分類 951
  • Cコード C0223

出版社内容情報

鋭敏で明晰な≪知性の人≫たる詩人・批評家ポール・ヴァレリー(1871-1945)は、同時に女性への愛に翻弄され続けた強烈な≪感性の人≫でもあった――。その相剋に彼の本質をみさだめ、創作に新たな光を当てる、魅惑的な伝記。

内容説明

二十世紀前半のフランスで「最高の知性」として知られた詩人・批評家ポール・ヴァレリー。この明晰な「知性のひと」は、生涯に少なくとも四度の大恋愛にのめりこみ、愛欲に惑い続けた「感性のひと」でもあった。その相剋に彼の本質をみさだめ、人物像に新たな光を当てる。手紙や作品の豊富な引用とともに綴られる、魅惑的な伝記。

目次

序―「感性のひと」の側面
1 最初の危機―ロヴィラ夫人をめぐって
2 レオナルド論とムッシュー・テスト
3 ロンドンと『方法的制覇』
4 詩作の再開と第一次世界大戦
5 愛欲の葛藤―カトリーヌとの出会い
6 胸像彫刻にはじまって―ルネ・ヴォーティエと『固定観念』
7 崇拝者からの愛―エミリー・ヌーレの場合
8 最後の愛―『わがファウスト』と『コロナ』と『天使』

著者等紹介

清水徹[シミズトオル]
1931年東京生まれ。1956年東京大学大学院フランス文学科修士課程修了。明治学院大学教授、同図書館長を経て、明治学院大学名誉教授。専攻はフランス文学、文芸評論。著書、『書物について』(岩波書店、藤村記念歴程賞・読売文学賞・芸術選奨文部科学大臣賞受賞)ほか多数。訳書、ピュトール『時間割』(中央公論社、クローデル賞受賞)ほか多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Bartleby

11
「知性のひと」として知られるP・ヴァレリーは実は一方で「感性のひと」でもあり、彼の創作はつねに知性と感性の相剋の中でなされてきた。。本書は恋愛遍歴に焦点に当てることで彼の一般的イメージを覆すことが試みられており、彼の作品に親しんできた人には新鮮な発見、あるいは「やはりそうだったか」という納得があるだろうと思う。しかしその一方で、この本でヴァレリーに入門しようとする人にとっては、彼が「知性のひと」と呼ばれてきた所以が伝わりづらいのではないかという不安も少し感じた。2016/01/11

うえ

6
ヴァレリーによるシティ・オブ・ロンドンとロンドン橋の観察と感動。「1894年のヴァレリーにとって、ロンドンは刺激の多い都会であったらしい…彼を刺激したのは、ロンドンの中心部とくに「シティ」であった。…ルベーの秘書として世界の株式市場の動向について分析することになるヴァレリーにとって…商取引の活発さのなかにいて、いわば方向感覚を失ったような陶酔感を覚え…異様な感覚に強く惹かれた…シティの魅力とよく似ているのが、ロンドン橋の上で彼が考えたことである。…ロンドン橋の上では群衆たちは「粒子の流れ」にすぎなかった」2023/01/04

いのふみ

4
初ヴァレリーだったのだが、確かにこういう大恋愛から見るっていう目線は珍しいかもしれない。陳腐だけれど、恋と芸術に生きるという感じか。2018/09/12

氷柱

4
229作目。8月11日から。サブタイトルに惹かれて読んでみることにした。寡聞にしてこの作家のことはと良く知らない。読み進める内に頭のおかしいセクハラ爺であることが判明したが、サブタイトルにあるような知性も感性の鋭さは微塵も感じられなかった。ダヴィンチの方法論についてどうのこうのと書かれていたが具体的な内容には踏み込まれていかったので、実際にこの作者の作品を読んでみる他にその内実を知る術はないのだろう。2016/08/12

kojisec.

4
フランスの知性と呼ばれているヴァレリーの「女たらし」的な側面を描写している。岩波文庫で「精神の危機」を読み始めたばかりだけど、人と交わりをもつことで、フランスの「知性」と称されるまでになれるのだろうと思いました。「小賢は山陰に遁し、大賢は市井に遁す」という言葉をふと思い出した。2010/06/29

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