岩波新書
マルコムX―人権への闘い

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  • サイズ 新書判/ページ数 237,/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004312246
  • NDC分類 289.3
  • Cコード C0222

出版社内容情報

キング牧師とならぶ五、六十年代アメリカ黒人運動の指導者(1925~65)の生涯と言説をたどる本邦初の評伝。誤解・歪曲されることの多かった言動を分析し、普遍的な人権の獲得をめざしたその実像を明らかにする。

内容説明

アメリカの「ネイション・オブ・イスラム」の伝道師として熱烈な説教で人気があったマルコムX。彼はキング牧師の「公民権運動」を批判しつつ、より普遍的な人権の獲得を主張して、一九五〇~六〇年代黒人運動の指導者として活躍した。その生涯と言説をたどり、誤解・歪曲されることの多かった言動を分析して、実像を明らかにする。

目次

第1章 マルコム少年―家族の背景とガーヴィー主義
第2章 「ネイション・オブ・イスラム」の伝道師
第3章 言葉の人間・その演説
第4章 アフリカの鼓動を共有する
終章 マルコムXの遺産

著者等紹介

荒このみ[アラコノミ]
1946年埼玉県に生まれる。1976年東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。博士(文学)。現在、立命館大学客員教授、東京外国語大学名誉教授。専攻はアメリカ文学、アフリカン・アメリカン・スタディーズ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

skunk_c

62
「奴隷解放」の年から百年後に志半ばで暗殺された黒人運動家の評伝。かなり昔現代書館の「フォー・ビギナーズ」シリーズのものを読んだことがあったが、まとまった評伝は初めて。オバマ大統領の時代の本で、彼がマルコムXから影響を受けていたことも紹介されている。キング牧師と対比され、暴力主義者のように言われたのは、当時の白人社会アメリカの巧みなイメージ操作だったことが明らかにされている。そこから実は彼らがこの言葉によるプロバガンダの名手を心底恐れていたことが分かる。『人種主義の歴史』と併読するとより理解が深まると思う。2022/07/04

テツ

18
個人的にキング牧師よりもマルコムXの方が好き。謂れない差別。失われた黒人の尊厳。アイデンティティの回復。生涯をかけてそれを取り戻すための闘争に明け暮れた彼だけれど、必要以上に攻撃的且つ暴力的なイメージというのはやはり作られた物なんだな。グレて収監された刑務所で独学の末に知性を手に入れイスラムの教えに救いを見出し出所後は黒人の尊厳のために戦い続けたマルコム。父親はKKKに殺され、母親は黒人女性(マルコムの祖母)が白人に強姦され生まれたという出自。彼の憎悪の根源を思うと居た堪れない。今の世界はどうだマルコム?2017/03/03

ネムル

9
「自由を獲得するために自分たち「いわゆるニグロ」は白人社会と闘うのだとマルコムXは聴衆を鼓舞する。「必要なあらゆる手段を使って(by all means neccessary)」、黒人は自由を獲得せねばならない。いっぽう、「あらゆる」とは、非暴力を掲げるマーティン・ルーサー・キング・ジュニアに対抗しているとメディアによって解釈された。(…)ところがじつは、「あらゆる手段を使って」とマルコムXは言うのみで、具体的にどのような方法なのかは説明しない」、なんとなく暴力的な煽動家としてイメージしていた(→2024/02/27

ナン

9
マルコムXについては映画に加え、本は3冊目。知っていたことの再確認と新たな学びがあった。彼の活動家として最も尊敬するところは、考えを変えそれを表明できる勇気を持っている点。「白人は悪魔」という考えから「世界を視野に入れた人権活動家」に変化していった。この点を知らなかったエピソード等で再確認できた。新たに学べたのは彼の演説の分析やオバマ氏への影響。重要な演説の概要は知れたので全体を通して読んでみたい。また、今から見るとオバマ氏に期待しすぎな感もあるような。2021/08/08

ラウール

7
マルコムXは自分の歴史を知ることの大切さを教えた。「根っこを嫌えば、その木も嫌いになるのは当然だ。最終的にその木ぜんたいが嫌いになる。自分の出自を嫌えば、当然、自分自身を嫌う」また、マルコムXの言葉の力は若き日のオバマに精神的基盤を与えた。アフリカの遺産を継承するオバマ大統領の指導力に期待し、注視していきたい。2011/02/24

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