出版社内容情報
日本を代表する工芸品として誰もが認める漆器だが、その文化の成り立ちは意外にも未知。著者は、縄文から近代まで、土中より発見された漆製品に科学分析の光をあて、その謎に挑む。名品鑑賞だけではわからない、新しい文化史。
内容説明
日本を代表する工芸品として誰もが認める漆器。しかし、その文化の成り立ちや、技法、社会的な広がりについては、意外にも未知のままであった。著者は、縄文から近世まで、土中より発見された漆製品に科学分析の光をあて、その謎に迫る。民俗学の手法や絵巻物・文献資料も活用。名品鑑賞からだけでは到達できない、初めての文化史を描き出す。
目次
第1章 漆をさかのぼる―縄文漆器の世界(縄文ウルシの発見;九〇〇〇年前の赤色漆塗りの衣服 ほか)
第2章 漆器が語る古代国家(古墳時代の漆の祭;捧げ、祭られる漆 ほか)
第3章 暮らしの中に広がる漆器(食品で作る「時間の物指し」;各地で働く工人たち ほか)
第4章 日本の各地で生まれる漆器―食文化の変遷の中で(広がる近世の漆器産地;合鹿椀―木地屋が塗った漆器 ほか)
著者等紹介
四柳嘉章[ヨツヤナギカショウ]
1946年石川県生まれ。國學院大學史学科卒業。歴史学博士。現在、石川県輪島漆芸美術館長、漆器文化財科学研究所長、美麻奈比古神社宮司。専攻、漆器考古学、文化財科学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
六点
25
著者は神職にして、石川県立漆器美術館館長などを務める研究者である。この本では考古資料を中心に化学分析によって長い漆器の文化や失われた技法がどのように実践されていたかを解き明かしている。縄文時代の漆器の分析から始まり、現在では失伝した技法による名品が作られた古代、全国の一般人の生活へ浸透していった、中世から近世、そして著者の地元、能登の輪島塗の成立の謎までの長い旅路を、読者はともに歩くことになる。木胎の樹種や、漆の採集といった技術的な側面も学べた。漆器の艷やかな黒に秘められた繚乱たる歴史に酔い痴れた。2021/09/21
壱萬参仟縁
14
拙稿2001年から随分時間が経過、久しぶりに分館から借りた本。17C後半英国にて、漆器制作技法はjapanning、作品をjapanと称したという(3頁)。動名詞化しているのはいい感じ。縄文時代には意外に海岸沿いから漆器が出土しているという(10頁地図)。縄文の赤の多様性には目を見張る80種類もの多さ(18頁)。本邦初の水時計(55頁)。こんなのが発明されていたとは! 明日香村の出土のようだ。奈良時代は黒、やがて、平安には朱へ(86頁)。写真のみならず、スケッチ画も結構リアルな感じ。漆器でゴミ問題を解消?2013/07/24
おらひらお
6
2009年初版。考古学の成果も取り入れた最新の漆研究の概説書といえます。特に中世の柿渋の登場と食器の組成の変化に関するところなどは興味深いものとなっています。2014/01/06
シージャ
3
ざーっと確認用。必要に駆られ再度の早読み。今度はもっと丁寧に読みたい。2022/01/29
kaizen@名古屋de朝活読書会
2
英語でジャパンは漆器のこと。 チャイナが陶器に対応している。 Japanese Lacquer日本のラッカ うるしは、うるし科るるし属うるし種。 主成分はうるしおーる 縄文時代からあったとのこと。 1000年持つ器ができるのに、技術が伝承されなくなっているとのこと。 道具も、職人も不足しているので、未来があぶないとのこと。2010/04/06
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