岩波新書
知床・北方四島―流氷が育む自然遺産 カラー版

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  • サイズ 新書判/ページ数 195,/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004311355
  • NDC分類 519.811
  • Cコード C0245

内容説明

知床半島から北方四島にかけては、北半球で最も南まで流氷が押し寄せ、海と陸にまたがった豊かな生態系が育まれている。しかしこの自然は、ソ連崩壊後の急速な資本主義化によって脅かされつつある。ここに暮らす動物たちの姿を紹介するとともに、生態系保全のため、世界自然遺産・知床をさらに東のウルップ島まで拡張する構想を展開。

目次

第1章 流氷が育む生態系
第2章 海と陸との意外なつながり
第3章 地球に残された「最後の秘境」
第4章 生態系に迫る脅威
終章 自然遺産を守るために

著者等紹介

大泰司紀之[オオタイシノリユキ]
1940年生まれ、北海道大学名誉教授。現在、北海道大学総合博物館資料部研究員、知床世界自然遺産地域科学委員会・委員長、NPO法人北の海の動物センター会長、酪農学園大学特任教授

本間浩昭[ホンマヒロアキ]
1985年同志社大学文学部卒業。毎日新聞社。前東京大学客員助教授。旧石器発掘捏造事件の端緒を入手し、取材班の一員として2001年度の新聞協会賞、菊池寛賞、早稲田ジャーナリズム大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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ヴェネツィア

380
ここでいう北方四島とは歯舞、色丹の歯舞群島と国後、択捉の南千島2島のこと。これにウルップ島が若干加わっている。この海域は北半球で最も南にまで(北緯44度)流氷がやってくる特異な地域であり、レナ川流域あたりからきわめて大量の植物プランクトンを伴って押し寄せてくる。それを食べて大増殖する動物プランクトン、さらにはそれを食べる第2次、第3次と最終的には食物連鎖の頂点に立つ第4次消費者のシャチにいたるまで実に信じがたいほどに豊富なのだとか。ラッコもクジラもヒグマもワンサカと。ただ、それは脆弱な自然でもあり⇒2020/07/30

翔亀

39
知床と北方四島と千島列島の自然は繋がっている。自然条件は一体化していて、当然野生生物に国境があるわけない。それが最も政治的な領土問題の陰に隠れて気付かれていなかった不幸。かつて池澤夏樹は北方四島の地図を眺めて「世界で最も見ることが難しい風景」を想像の中で楽しんだ上、日本に戻ったとしても日本化(観光地化)してしまってやはり見ることはできまい(「エデンを遠く離れて」)、と嘆いていたが、最近になって研究のためのビザなし交流ができるようになった。本書は日露の研究者による北方四島の野生動物の生態記録+写真集である。2015/08/22

雲をみるひと

19
知床から得撫島までを一つの世界自然遺産としたい思いを背景にした北方四島にくらす生物の実態のレポート。北方四島の生物の実情、道東を中心とした北海道の比較が写真を交えてわかりやすく表現されているので無理に思いを述べなくてもよかったかもしれない。商業的には知床というキーワードを入れないと厳しかったかもしれないが…2021/04/08

アナーキー靴下

9
以前テレビで見た、北方四島出身の方が故郷を懐かしむ姿が印象的だった。故郷の素晴らしい自然が忘れられないといった感じで。でも、正直そのときは北方四島がそんなによいところだったの? と疑問で、自分の故郷は誰にとっても特別だからだろうな、くらいに思っていた。しかし本書を読んで、北方四島が本当に素晴らしい自然の宝庫であることを認識。確かに知床を思えば北方四島の自然がどんなものであるか想像できたはず、とも。冒頭の、「領土問題は解決した。しかし水産資源は枯渇し、野性動物も姿を消していた」にならないことを切に願う。2020/08/08

Takao

7
2008年5月20日発行(初版)。知床が世界遺産に登録されたのが2005年7月。書名こそ「知床・北方四島」だが、殆どが「北方四島」に関する記述。読んでみてその理由もよくわかった。そもそも知床が世界自然遺産に登録されたのも、陸と海の生態系のつながりが重視されたから。「北方四島」は領土問題もあるが、本書は、国境を越えて、野生生物が織りなす生態系をいかに守っていくか、世界自然遺産による保護区域をウルップ島まで広げることを提唱している。ソ連崩壊後の急激な資本主義化の中で開発による自然破壊が危ぶまれる。2017/08/12

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