内容説明
二〇〇〇年に発足した介護保険。今、現場からは「「介護予防」とは?」「サービスを充分受けられない」「地域格差が拡大している」「介護士では生活できない」といった戸惑いの声が挙がっている。サービス利用者、その家族、介護従事者、行政担当者、政治家等、多数の関係者へのインタビューをもとに、早急に求められる処方箋を考察する。
目次
第1章 介護サービスが必要となったら
第2章 現場と政策とのあいだ
第3章 介護予防システム―その仕組みと有効性
第4章 介護保険の原点は何か
第5章 介護労働者から見る現場
第6章 障害者福祉における介護
終章 現場へ歩み寄るための道筋
著者等紹介
結城康博[ユウキヤスヒロ]
1969年生まれ。淑徳大学社会福祉学部卒業。法政大学大学院修士課程修了(経済学)、同大学大学院博士課程修了(政治学)。地域包括支援センター勤務(社会福祉士・ケアマネジャー・介護福祉士)後、現在、淑徳大学准教授。教鞭を執る傍ら非常勤ケアマネジャーとしても勤務。専攻は社会保障論、社会福祉学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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佐島楓
47
介護保険の改正によって事業者側の賃金が減ってしまったという現実に驚いた。かえって介護士の方々の給料も減り、離職率が高くなってしまうのに。現場の士気を下げない、給与水準を落とさない方策を考えていかないといけない。2015/09/08
gondan
8
★★★☆☆ 2008年出版本で2006年の改正介護保険制度の分析本。地域格差、家族の崩壊、職場環境の悪さと離職率、虐待、複雑な制度と度重なる改正、採算性、あまりにも多くの問題を抱え崩壊寸前の介護問題。ひたすら問題点の列挙になっていて、読むほどに憂鬱になる(現実がそうなのだからしょうがないが…)。この問題の本丸は、政治家(国民?)に福祉のビジョンがないことだ。やれ老人が、若者が、主婦がかわいそう。こんな「国民が全員負け」のゲームは早く終わらせなければいけない。期待薄ながらも政府に期待したい。2012/02/20
amanon
5
本書で度々言及されている「改正」からいみじくも十年経過した現在、更に高齢化が進み、介護の現場の過酷さが増していることを思うと、本書の現場告発が一層重い意味を持つ。インタビューの対象があまりに多く、幾分内容が細切れになっている感は否めないが、新書という制約の中で、比較的よくまとめていると思う。そして、その中で浮かび上がってくるのは、介護の現場と制度及び官僚側との乖離。「自立支援」を謳った「改正」がいかに現場に即していないかが、リアルに感じられる。そうした中から、草の根的に声をあげていくしか始まらないか?2016/08/12
私
5
介護保険というものの概要、長所短所が説明されていてわかりやすい。しかし、なんて綻びばかり規則を要求してくるんだ。それでもよりよいサービスを提供しようと努力している現場の方々、ご苦労されながらも必死に向き合っているご家族の努力には頭が下がる。2006年に改正されて以来、2007年の時点でこんなに問題が出ているのに、現状を調べるとあまり改善がなされていないのは残念。今、原発の問題が復興が急務として取り沙汰されているけど、同時に介護や福祉、教育についても見直して欲しい。それが結局、いい国作りに繋がると思うので。2011/09/29
読み人知らず
4
読んでみた。最新の本ではないけど、コムスンの問題とか、過去の歴史を振り返ることができてよかったと思う。役所と現場のずれがもどかしい。日本のダメなところだ2014/03/29