内容説明
ラグビーは走る格闘技である。岡仁詩(一九二九年生)は太平洋戦争の真っ只中にラグビーと出会い魅せられた。のち選手として、監督として斬新な戦法をあみ出し、同志社大学をラグビー界のトップに導き、多くの指導者を育てた。日本の体育界に稀有なリベラル・ラガーマンの足跡を辿りつつ、アマチュアスポーツの原点を探る。
目次
序章 埋み火
第1章 天中
第2章 源流
第3章 突進
第4章 接戦
第5章 転機
第6章 雪辱
第7章 再会
第8章 奔放
第9章 歳月
著者等紹介
後藤正治[ゴトウマサハル]
1946年京都市に生まれる。1972年京都大学農学部卒業。ノンフィクション作家。著書に『遠いリング』(講談社ノンフィクション賞受賞)『リターンマッチ』(大宅壮一ノンフィクション賞受賞)ほか多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おさむ
33
来年はラグビーワールドカップが日本で開催されます。ファンも多い自由で個性的な同志社大学ラグビーの気風をつくりあげた故・岡仁詩さんの評伝。神田の古書店街を歩いていてふと購入。スポーツノンフィクションで定評のある後藤さんの筆によるもので、すんなり読めました。単なる戦術ものではなく、その底流にある哲学、リベラリズムをしっかり浮き上がらせています。最近、失われてしまったように感じるラグビーのアマチュアリズムの良さがここにあります。2018/05/09
雲をみるひと
32
岡仁詩氏が亡くなる直前に出版された岡氏と同志社ラグビー部の活動を追った半生記、部誌的な本。関係者へのインタビューも多くルポ的な側面もある。岡氏が師匠ともいえる星名氏と同志社および関西の学生ラグビーの基礎を作り上げて行った前半部が本作のハイライトだと思う。林、大八木、平尾などの有名選手が出てくる後半はテーマ的に外せなかったのだろうが、少し掘り下げが不足しているようにも思えた。2021/12/22
壱萬参仟縁
13
One for all, all for one.のイメージのあるラガーマン。星名秦氏は、形式主義、権威主義、威張り主義は嫌いだった(50頁)。僕も官僚に蔓延するこうした主義には閉口だ。この間、テレビでは女子高生のラガーガールがいるのを知り、時代は変わったものだと思った。菅平。冬場はマイナス20度以下にもなるが、今は別天地なんだろうな。どうしても、ラグビーはテレビドラマの、スクールウォーズの方が馴染み深い。2013/08/12
ランフランコ
6
日本ラグビーの重鎮岡仁詩。岡=同志社大ラグビー部である。関西人の俺は関東への反骨心は強い。学生時代、大学スポーツ界は首都圏に有力な人材が集まり、関西スポーツ界は地盤沈下していたが、ラグビーの同大、アメフトの関学は王者の風格を備えた数少ないチームだった。同大はその自由奔放なプレイスタイル、個性派集団で見るものを強く引きつけた。その礎が岡イズムだった。学生主体の自由なリベラルな同大ラグビーは現在苦戦している。同大は関西でも絶対王者ではなくなった。しかし同大がもう一度大学日本一になることを期待してやまない。2018/11/07
夜郎自大
4
同志社大学がめちゃくちゃ強かった第二黄金期のTV放送で白髪の指導者が映っていたことをわずかに思い出す。リーダーシップ、コーチングの原点なのではないかと感じる。選手、部員への関心。2022/12/30