内容説明
フランク王国、百年戦争、絶対王政、フランス革命、一九世紀の革命、二つの世界大戦、「五月革命」など二千年余の激動の歩みを一冊でたどる。教会と国家、中間団体、名望家国家、政治文化など重要なテーマも掘り下げながら、「ヨーロッパ地域世界の中のフランス」という視点を軸に、フランス史の独自性を描き出す斬新な通史。
目次
第1講 「フランス」のはじまり
第2講 中世社会とカペー王国
第3講 中世後期の危機と王権
第4講 近代国家の成立
第5講 啓蒙の世紀
第6講 フランス革命と第一帝政
第7講 革命と名望家の時代
第8講 共和主義による国民統合
第9講 危機の時代
第10講 変貌する現代フランス
著者等紹介
柴田三千雄[シバタミチオ]
1926年京都市生まれ。48年東京大学文学部西洋史学科卒業。東京大学教授、フェリス女学院大学教授を経て、東京大学名誉教授。専攻、フランス近代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kaizen@名古屋de朝活読書会
105
ガリア人とフランク族のどちらがフランス人の起源かは分からなかった。 フランク王国は、フランク族によるケルト系、ローマ系の支配。 14世紀以降は、なじみのヨーロッパ史の一部として理解。 ヨーロッパの歴史は奥が深い。http://bit.ly/10CJ7MZ2013/06/27
崩紫サロメ
44
柴田三千雄の最晩年の著作。ガロ・ローマ時代から第五共和国時代のフランス史の概説。専門である近代史が踏み込んでいて面白いが、案外専門外の古代・中世史の方が読みやすいかもしれない(先行研究の紹介に留まっているので)。「フランス革命=ブルジョワ革命」というかつて一般的な認識に対して、著者が唱えた異論(p.135~)はフランス近代史を学ぶ上で外せないところなので、このように新書で読めるのはありがたい。10年近く経ってしまったけど、ご冥福をお祈りする。2021/01/16
skunk_c
42
シリーズ発案者による簡潔なフランス史。特にフランス革命を3極構造で捉える見方が分かりやすく、また、その後のフランス史にもこの視点が適用できるという分析視角は面白い。ある意味マルクス型唯物史観から抜けようという意図(シリーズ全体に感じるが)があるのかな。ただ残念なのは文化的要素が殆ど捨象されていること。もちろんロココとかは出てくるが、戦後独自の発展をした映画とかシャンソンとかは全く登場せず。サロンの話題もなかったか。イギリス史やイタリア史ではそうした話題もあっただけに、ちょっと「生真面目」な印象となった。2019/06/03
著者の生き様を学ぶ庵さん
40
岩波新書の地域史第二弾。フランク王国からEU統合まで通史のおさらいができる。旧ローマ帝国内に誕生したゲルマン部族の中でフランク族のクロヴィスが正統・アタナシウス派キリスト教に改宗し、ゲルマン部族で唯一の正統派カトリック王としてローマ教会の権威を獲得した日にフランク王国メロヴィング朝が始まる。やはりローマ帝国の後継者には、政教一致が必要。内乱後のカロリング朝も、ピピンの即位には塗油anointが不可欠。筆者の専門・近代史のジャコバン派も現代史の老虎クレマンソーも面白いが、個人的にはフランク王国時代が面白い。2016/11/05
ホークス
38
2006年刊。面白いが6割の理解。フランスの由来であるフランク族は後発のゲルマン人。三位一体派が正統とされた後でキリスト教徒になり、旧教派の他部族を排除できた。ゲルマンの人口は5%で、統治はキリスト教組織が頼り。東方教会と競うローマ教会も後ろ盾が必要。フランク族とローマ教会の共生は、欧州の重要な枠組みとなった。フランス革命への経緯は複雑で、集団間の対立を解消する過程で「国民」が創造された。これを後の幕末日本は引き継いだように見える。歴史は人間のサガの見本市。欧州と東アジアの比較はもっと読みたかった。2023/08/31
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