岩波新書<br> 悪役レスラーは笑う - 「卑劣なジャップ」グレート東郷

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岩波新書
悪役レスラーは笑う - 「卑劣なジャップ」グレート東郷

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  • サイズ 新書判/ページ数 247p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004309826
  • NDC分類 788.2
  • Cコード C0236

出版社内容情報

戦後プロレス・ブームの「陰の主役」、伝説の日系・悪役レスラー、グレート東郷。 反日 反米! 血だるまで笑う男の正体は? 謎に包まれた、その「素顔」に迫る!

【目次】

プロローグ――ある<記憶>をめぐって 
あるレスラーの〈映像〉/曖昧な存在/燻りつづける〈記憶〉/大ヒール・グレート東郷とは
 
第1章 虚と実の伝説 
プロレスという「職業」/「東洋の悪魔」の危惧/凄まじい殺気/老人ショック死事件/リングの下での「顔」/馬場が伝える東郷の「素顔」/レフリーにKOされた世紀の悪玉/「空手バカ一代」の中の東郷/二人の「サムライ日本」/力道山との微妙な距離/計算された来日時のパフォーマンス/怪物レスラーのその後/大衆の欲望とプロレス 
 
第2章 伝説に隠された<謎> 
突然の「仰天証言」/テレビとプロレス/力道山と日本プロレス前史/プロレスというキラーコンテンツ/力道山と東郷の接点/映像に現れた東郷/テレビのハードル/二人のレスラーの証言/プロレス・マスコミの第一人者が語る/虚実の皮膜こそプロレス/リングの上の「正論」/「守銭奴」か「ビジネス」か/虚と実の境は/日本を追われた東郷/力道山の死/力道山亡き後のプロレス界/力道山の元秘書の証言/東郷の誤算? 
 
第3章 笑う悪役レスラー 
プロレスの「死角」/「真剣勝負」と「アドリブ」/チャイナ説は……/ナショナリズムを無効化する瞬間/本気にならないレスラー/テーズvs.草津戦の謎/草津が口にした「新事実」/「キープ・ステイ・ダウン」/情の積み重ね/時空を超えて/在米マニアたちの情報/病床の大木金太郎/プロレスの「深い闇」/ヒートする市場の要求/真珠湾攻撃と「卑劣なジャップ」/底が丸見えの底無し沼
 
あとがき
主要参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

347
プロレスは子どもの頃に見たことはあるが、力道山、馬場、猪木くらいしか思い浮かばない。ましてやグレート東郷となると、かすかに名前を聞いたことがあるというくらいだ。本書はプロレス史(裏面史でもある)をそのグレート東郷を軸に語ったもの。背中に日の丸と南無妙法蓮華経の題目が描かれた法被を羽織り、高下駄を履いて、額には「神風」と書いた日の丸鉢巻。戦後のアメリカのリングに登場した典型的な「ジャップ」のヒールである。しかも、試合開始前に相手レスラーの眼に塩をすりこんだりと、もうこれでもかというくらいに卑怯で悪い奴。⇒2023/01/07

nonpono

45
「伝説の悪役レスラー」グレート東郷を巡る一冊。グレート東郷を巡る迷宮。映画を見ているようだった。戦後、アメリカで反日感情を揺さぶり有名だったグレート東郷。名前は知っていたが、あの力道山がこんなにも信頼を寄せていたなんて。そして「銭ゲバ」として嫌われたのは真実か。「週刊ファイト」の元編集長の井上義啓の言葉が刺さる。「プロレスとは、底がまる見えの底無し沼である」と。焼酎をワインで割りながら、ぽつぽつと話すグレート草津のインタビューが凄い。真実は藪の中。出自?日本?最後はほくそ笑むグレート東郷の残像が浮かんだ。2024/09/23

kawa

30
珍し?岩波新書のプロレス本。小中学生のころ、ブラウン管の前で手に汗記憶が残っているので、この手の本には無条件で手が出てしまう。読了でのビックリは、「卑劣なジャップ」として観客から嫌われ、ナイフをも突きつけられた当時の神風ヒール・レスラーの米国での厚遇ぶり。人気のあったベビー(善玉)フェイスよりギャラが良くて、例えばジャイアント馬場も駆け出しの新人時代の米国での稼ぎ高が1億円(大半はピンハネだが)近かったらしい。大リーグを目指す昨今の日本プロ野球の原点がここにあるかもと妄想してしまう。2025/01/21

けんとまん1007

20
自分を覆い隠そうとし続けることも、なかなかできることではないなと思う。そんな面を持ったグレート東郷。一方で、実業家としての面も凄い。そのエネルギーに根源は・・・という点もあるが、プロレスという文化のあり方、それをとりまく、この国の人たちの文化にも目が行く。人は、自分が知っていることでしか、評価しきれないのだろう。だか、分かれる。それと、この国のありよう・・・短絡的な熱狂と、さめやすさ、そして、あわてふためきながらも、諦めてしまう文化。これは、何とかしないと。2012/08/18

ああああ

12
「卑劣なジャップ」という悪役として、戦中から戦後にかけてアメリカプロレス界で活躍したグレート東郷。彼の人柄と足跡を著者は追っていく。同時代の記述や証言から、事業家、レスラー、日系人としてのグレート東郷の素顔が浮かび上がる、ようでいてなかなか浮かび上がらない。その素顔に迫るたびにグレート東郷という人物はニヤニヤ笑いの悪役レスラーになってしまうのだ。大変いいドキュメンタリー。2014/06/07

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