岩波新書
「民族浄化」を裁く - 旧ユーゴ戦犯法廷の現場から

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  • サイズ 新書判/ページ数 204p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004309734
  • NDC分類 316.839
  • Cコード C0236

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

寝落ち6段

19
旧ユーゴスラビアの紛争の中、過激的なセルビア人によるモスリム人他に対する民族浄化という虐殺を国際司法の立場で顧みた本書。どれだけ酸鼻を極めたかは、読んでもらえばわかる。課題は、戦犯法廷は正しく機能したか、ではないかと思う。これだけの虐殺があっても、拘禁刑は平均15年もない。大量殺戮をしているのにジェノサイドの罪に問えない。NATOの民間人殺害を不問に処している。やはり戦争に関する犯罪規定に問題があるとしか思えない。このまま国連が現在や未来の戦争に実効的なことができるのか。正直、今の国連には期待できない。2025/08/04

色々甚平

11
旧ユーゴスラビアで起きた内戦、紛争での民族浄化を謳った大量虐殺などの戦犯について筆者が裁判官として関わった裁判ノートを元に書かれている。あまりに酷すぎて今後この民族関係が正常化することは不可能に近いのではないかと思うほどだった。この本ではセルビア人の戦犯容疑者のみを挙げられているが、イスラム人、クロアチア人も容疑者として挙げられている。タカ派民族主義政権らがプロパガンダで他民族をこき下ろす。冷戦では東西に良いように使い捨てられたり、列強国の政治に巻き込まれ、より問題の根が絡まっていく。2016/04/12

ふぁきべ

6
本書において一つ重要だと思うのは、政治的なリーダーによる扇動が民族間の憎悪を作り出したという点に強く焦点が当たっているということ。著者は旧ユーゴ戦犯法廷の元判事であり、当時のメモを基に本書を書いていることを勘案すると当然ではあるのだが、そういった政治的リーダーが担ったネガティブな役割というのは、歴史的背景や宗教・民族・言語的違い、民族間での経済格差といった要素とともにより強く認識されるべきものだと改めて感じた。2021/06/23

テツ

3
国際社会は旧ユーゴで行われた民族浄化について、ほぼ何もしなかった。それは各国のパワーバランスの問題や様々な思惑が絡むが故なのだろうけれど、それなら一体誰が一方的に虐殺される人間を助けてくれるのだろう。国際裁判所で裁かれた加害者側もこれだけの虐殺を行いながらも、大抵は禁固20~30年で済まされてしまう。現代社会において神は死んでしまった、人間が殺害してしまったけれど、代わりに誰が裁きと救いを与えてくれるのだろうと、運良く生存した被害者の証言を読んでいて憂鬱になった。2012/06/17

竹の子

2
ウクライナにおける数々の戦争犯罪を我々は裁くことができるだろうか、と考えながら読んだ。もっともっとユーゴについて知らねばならないと思った。2023/06/27

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