内容説明
世界中で二〇〇〇万人以上といわれる難民。その約半数は子どもたちである。四〇年近く世界の子どもを撮り続けてきた写真家が、中東・ベトナム・アフガン・アフリカなど各地の難民の子どもたちに出会い、戦災や飢え、親兄弟との別離、レイプや誘拐、重労働の強制などの苦難のなかで、常に前を見つめて懸命に生きる姿を活写する。
目次
第1部 中東・東ヨーロッパ(パレスチナへの道;少数民族クルドの悲劇;多民族・モザイク国家の子どもたち―ユーゴ紛争と難民)
第2部 アジア(タイに避難したインドシナ難民;戦火と旱魃を逃れて―アフガニスタン難民キャンプ)
第3部 アフリカ(旱魃と砂漠化から逃れて―ケニア、タンザニア、ニジェール;戦災に悩むソマリア、エチオピア;内戦のスーダンと避難民たち ほか)
著者等紹介
田沼武能[タヌマタケヨシ]
1929年東京・浅草生まれ。写真家。1949年東京写真工業専門学校卒業。サンニュース・フォトス入社。木村伊兵衛氏に師事。1965年、アメリカのタイム・ライフ社と契約。1972年よりフリーランス。世界の子どもたちの写真を撮り続ける。1995年より日本写真家協会会長。1979年、モービル児童文化賞、1985年菊池寛賞、1990年紫綬褒章。2003年文化功労者に顕彰される
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
410
著者は著名な写真家。とりわけ世界の子どもたちの写真で名高い。本書は世界各地の難民キャンプで取材し、そこで子どもたちの写真を撮ったもの。パレスチナ、クルド、旧ユーゴ、タイに逃れたインドシナ難民、アフガニスタン、ケニア、ソマリア、スーダン、ジンバブエーいずれも悲惨を極めるが、とりわけ凄惨の極致にあるのがエチオピアのキャンプ。人道支援もどう見ても不十分で限りがある。子どもたちは、今は生きていても明日はどうなるかわからない。そして、将来に対する希望はどこにもない。それを対岸の火事と見ている自分がいる。2021/04/13
やすらぎ
116
PEACE ONE. 平和がいちばん。…パレスチナの子どもたち。食事は順番に並んで盛ってもらう。ここには秩序があり先陣争いはない。しかし、食後の遊びは兵隊ごっこを始めた。…イラク。怖い思いをした少年は母親から離れようとはしなかった。…タイ。物心ついた少年少女になると、これから先のことを考えているのだろうか、沈んだ顔をして屋根から落ちる雨の雫を物憂げに眺めていた。…アフガニスタン。水も食糧とテントもない。そして希望もない。なんとかしてください。…サラエボ。僕は0歳になりたい。お母さんのお腹にいられるから…。2021/05/03
morinokazedayori
28
★★★★あまりにも衝撃的。紛争、干魃、飢饉で、学校も家も服も家族も食料もない。守ってくれる国もなければ、身体の一部まで失っている子もいる。20世紀後半の話が多く、2005年に出版されている。今はよい方に向かっているのだろうか。どんな悲惨な状況でも、たくましく生き抜こうとする子ども達は本当に素晴らしい。多くの人に読んでもらいたい一冊。平和の大切さを痛感する。2021/05/17
ヨクト
16
突きつけられる現実、問題の大きさ、自分の無力感に何も言うことができません。2013/05/05
ののまる
13
2005年発行なのに、ここに載っている世界各地の難民の情態がいまだ続いていることに愕然とする。2016/10/21
-
- 和書
- 能と謡 (新版)