内容説明
イラクへの自衛隊派遣、有事法制の成立―。戦争のできる国へと変容しつつある日本で、いま様々な形で「戦争協力」が進行している。戦地への出張を命じられる会社員、封じられる反戦への意志、派遣命令に苦悩する自衛官と家族など、その実態を浮き彫りにし、日本が再び戦争加害者とならないためにできることは何かを問う渾身のルポ。
目次
第1章 戦争のできる国へ(イラク戦争と日本;日本も加害者 ほか)
第2章 自衛隊員は命令を拒否できるか(戦地に赴く自衛隊員;覚悟を迫る国家 ほか)
第3章 有事体制を拒否する人びと(有事法制の本質;危機感を深める労働者 ほか)
第4章 自由にものも言えない社会に抗して(ビラ配布で逮捕;なぜかれらだけが ほか)
第5章 戦争の加害者にも被害者にもならない(広がるイラク派兵違憲訴訟;平和的生存権 ほか)
著者等紹介
吉田敏浩[ヨシダトシヒロ]
フリー・ジャーナリスト。アジアプレスのメンバー1957年大分県臼杵市生まれ。1977年より、ビルマ、タイ、アフガニスタンなどアジアの多様な民族世界を訪ねる。85年3月から88年10月まで、ビルマ北部のカチン州とシャン州を長期取材。その記録をまとめた『森の回廊』(NHK出版・NHKライブラリー)で、96年に第27回・大宅荘一ノンフィクション賞を受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
チェアー
15
2005年発行の本だが、2019年のいま読んでも内容は古びていない。この14年の間に、着々と戦争へのレールが敷かれてきたことが一目瞭然だ。戦争協力を拒否することは年々難しくなっている。だから身近なことから日々、意識して大勢に逆らうことをしておくべきだ。一つひとつの動きに反対の声を上げる。記録しておく。身近な人と話しておく。「売国奴」「国益を考えない人間」と罵声を浴びても、拒否を貫ける力と環境をいまから養っておくことだ。2019/08/08
おらひらお
5
2004年初版。ビラ配布逮捕事件などちょっとやりすぎな事件などを取り上げて国民が戦争協力に動員されつつある状況を紹介した本ですが・・・。やや内容的につらいものでした。著者の思いにあう事例のみをつなぎ合わせたような印象が最後までぬぐいきれませんでした。最近、戦争関係の充実した本を読んでいたので(新書ですが)、その質の差の大きさに驚きました。ただ、アマゾンではかなりの高評価だったので、読後感は人それぞれだと思います。2012/05/10
Nobu A
3
アメリカが9/11事件後の報復戦争に日本を巻き込んだ自衛隊派遣問題を色々な角度から切り込んだ2005年出版の図書館本。「誤爆」や「止む得ない犠牲」の名の下で多くの一般市民が殺傷され、当時、苦悩した隊員やその家族を取材。有事体制は燃料物資支援に航空や港湾関係の企業にも圧力をかける。読了後、改めて安倍内閣がどこに向かっているのか判る。戦争責任とは過去の誠実な謝罪と反省に立ち、日本の社会が再び戦争への道を歩むことを主催者として国民一人一人が許さないという戦後と未来責任。決して忘れてはいけない。2016/05/05
ERNESTO
2
防衛省の考えは、「自衛隊は国民を守るため」ではなく、「国家を守ること」と、陸上幕僚幹部は発言し、それは『日本国防軍を創設せよ』とも整合性を保っているが、派兵・襲われる側の我々としては、承服できるものではない。 本書や『民間人も「戦地」へ』にもあるように、民間エンジニアも派遣されている中、01年にはアラビア海補給活動前に好悪の数人が辞職し、04年1月にはインド洋派兵者延べ5630人中、約60人が補職替えした。 2013/02/18
takao
1
ふむ2023/11/15




