出版社内容情報
日朝交渉で手詰まりに陥る一方で,アメリカのイラク戦争にはいち早く支持を表明した日本外交.その2つのケースを取り上げながら,外務省の体質や政策決定のあり方を多角的に検証し,主体的な外交はいかにすれば可能かを考える.
内容説明
首脳会談で扉を開いたとたんに拉致・核問題で手詰まりに陥った日朝交渉。イラク戦争にはいち早く支持を表明、新法制定に着手した日米同盟関係。それらの担い手たる外務省とはどういう組織か。豊富な取材と資料をもとに、外務省の体質や政策決定過程のあり方を多角的に検証しながら、外交力を強化するための具体的提言を行なう。
目次
第1章 日朝交渉の挫折
第2章 変貌する日米同盟
第3章 問われた外務省の体質
第4章 新外交を阻む冷戦の残滓
第5章 内交の時代
第6章 外交力強化への道
著者等紹介
薬師寺克行[ヤクシジカツユキ]
1955年岡山県に生まれる。1979年東京大学文学部卒業、朝日新聞社入社。主に政治部で国内政治や日本外交を担当。2002年ヘンリー・スティムソン・センター(米国ワシントン)客員研究員。現在、朝日新聞社論説委員
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感想・レビュー
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ヤギ郎
11
新聞記者による、2000年前後の日本外交をふり返った新書。本書前半では、日朝交渉からみる日米関係を描く。「問われた外務省の体質」という章題のもとで、プール金問題(松尾事件)・宗男事件・真紀子劇場に考察する。外務省の組織体制や外交部門の各国比較は興味深い。最後は、冷戦以後の外交を考察する。そもそも、「外交」という仕事は国民から見えにくいところがある。親しみやすい、開かれた外務省の構築が求められるのだろう。「政治家」主導から「政治」主導の外交政策を提言する。2020/10/31
takao
1
ふむ2024/10/06
さとる
0
2003年発刊なので松尾事件・宗男事件・真紀子劇場の頃のお話。ただスキャンダル話題だけでなく,「条約局支配に限界があり総政局が誕生したがエースを局長に配置する人治主義だった」,「50年体制時代は国会答弁を外務省,揉めたら自民党の出番という役割分担ができていた」,など朝日新聞政治部出身記者らしい視点があって面白い。☆作者さん,安倍さん時代に外交力は強化されていますか。是非続編を。2017/07/03
ももも
0
著者とお会いする機会があり拝読。スキャンダラスなトピックなので、政治に疎いわたしでも楽しめた。2015/10/05
悸村成一
0
本には全く書いてない話題ながら…。笠井(葛西)正信なる名前の贋コリアン・プリンス(レプリカ。複数いる)を日本国の外務省は支持すべきではない。世界ハリジャン会議擁立説、内調(内閣調査室)/宮内庁関与説も考えられ、真相は確定されていないが。 602014/09/17