岩波新書
映像とは何だろうか―テレビ制作者の挑戦

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  • サイズ 新書判/ページ数 230p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004308423
  • NDC分類 778
  • Cコード C0236

出版社内容情報

ドキュメンタリーで社会の現実を,ドラマで虚構の物語を映像化する際に,何が壁となり,どんな冒険に挑んだか.NHKの看板ディレクターとして斬新な番組づくりを重ねた著者が,映像表現の可能性と重層性,その危うさを語る.

内容説明

ドキュメンタリーで日本と世界の現実を、またドラマで虚構の人間模様を映像化するにあたって、何が壁となり、どんな冒険に挑んだか。NHKの看板ディレクターとしてテレビの草創期から斬新な手法と大胆な構想力で開拓的な番組づくりを重ねた著者が、自らの体験を回想しながら、映像表現の豊かな可能性とその危うさを語る。

目次

獅子吼する教祖―撮るべきものが撮れるか
すべては白紙から―映像はひとり歩きする
「素材」としての賭場―撮りたい理由、撮らせる理由
考えるカメラ―日本人のメンタリティに迫る
潜伏キリシタン―訴える人びと、終わらない歴史
ボツになった「無残絵」―「茶の間に出せぬ」映像とは
乱舞する巴文―楽譜か神火か人魂か
推定有罪―ドキュメンタリーの怖さを知る
歴史上の人物―「時代劇」から「歴史ドラマ」へ
香水の匂う刃物―芝居と芝居のインターラクト?
じかに見せろ―視聴者の注文に応えられるか
カメラと活字の距離―映画が手をつけなかった領域へ
なぜ現在かくあるのか―欧米にさぐる未知の風景、歴史の刻印
映像にとって廃墟とは―現在と過去のモンタージュ
〈映像化〉とは何だろうか―現実の重層性を引き出す
心に火をつける―「あとがき」をかねて

著者等紹介

吉田直哉[ヨシダナオヤ]
1931年東京に生まれる。1953年東京大学文学部西洋哲学科卒業、NHK入局。ディレクターとして、本書でとり上げられているドキュメンタリー・シリーズ「日本の素顔」『新興宗教をみる』(1957年)、同『日本人と次郎長』(1958年)、同『隠れキリシタン』(1959年)、「東南アジアをゆく」(1960年)、『日本の文様』(1962年)、『TOKYO』(1963年)、大河ドラマ『太閤記』(1965年)、同『源義経』(1966年)、ドキュメンタリー・シリーズ「海外取材・明治百年」(1968年)、同「未来への遺産」(1974‐75年)、同「21世紀は警告する」(1984‐85年)、「ミツコ―二つの世紀末」(1987年)などを制作。芸術選奨文部大臣賞、日本記者クラブ賞などを受賞。専務理事待遇ディレクターを経て退職後、1990‐98年、武蔵野美術大学映像学科教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

しんこい

5
再読。ヤクザ、隠れキリシタン、大河ドラマといった番組制作にまつわる面白いエピソードの数々もさることながら、映像を使って何ができるか、映像が何をもたらすかをこれだけ考えながら番組を作っていた人もあまりいないだろう。まあ、そもそもテレビ番組を作る人は文章なんか書かないか?2014/04/04

南註亭

3
圧巻は冒頭の第1章、創価学会第2代会長戸田城聖の知られざる一面が描かれています。1957年、場所は創価学会本部でのできごとです。 1~8章まではドキュメンタリー番組、9~11章はドラマ、12~16章はドキュメンタリー番組についての記述です。 新宗教、やくざ、隠れキリシタン、インド、行方不明人、明治百年、未来への遺産、廃墟とヒトラー、クーデンホーフ・光子、等、さまざまな対象に向き合った番組作りについて、驚くことばかりが綴られています。 オススメ度は、☆☆☆☆☆ 5つ。 ぜひ読んでもらいたい1冊です2011/09/07

shushu

2
shushu 2ch高橋幸治スレで紹介されていたので読みました。TV創世記、手探りでテレビ表現の可能性を探り続けた方なんですね。撮影前に結論づけるのではなく、撮影が未知の世界を知ることり考えることだった時代。賭場、隠れキリシタンの信仰を守った人たち、驚き。大河ドラマ「太閤記」のキャスティング、嘆願のため本能寺の回を2か月遅れにした、時代もおおらかだったんだな、溜息。それにしても「太閤記」が見られない。消しちゃったNHK、大馬鹿だ。 2017/10/31

kyoko

2
カメラとは考える道具である。何よりも、一番印象にのこった言葉。2010/08/16

tecchan

1
 NHKディレクターとして、草創期のテレビ放送、特にドキュメンタリーやドラマに活躍した著者が経験を踏まえ映像とは何かを問うた作品。「未来への遺産」「21世紀は警告する」、さらに遡れば、大河ドラマ「太閤記」などの革新的作品には心躍らせた思い出がある。映像化に至る苦労や経過等面白く読めた。それにしても、以前のNHK作品には優れたものが多かった。是非、こうした作品を今でも見ることができる環境を作って欲しい。今こそ、多くの人に見てもらいたい作品ばかりだと思う。2020/01/09

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