出版社内容情報
日本人の日常生活に息づく伝統が解体しつつある今,私たちの自己認識はどこにたどり着こうとしているのか.人々の価値観や生活意識を示すものとしての宗教や思想を歴史的に考察し,日本文化を貫く固有のエートスを描き出す.
内容説明
日本人の日常生活に息づく伝統が解体しつつある今、私たちの自己認識はどこにたどり着こうとしているのか。人々の価値観や生活意識を示すものとしての宗教や思想を中心に歴史をたどり、国家や社会組織のあり方の変化に対応して、新しい時代の文化を主体的に形作ってきた日本社会の活力と、その固有のエートスを描き出す。
目次
日本文化の源流
古代国家の形成と日本神話
仏教の受容とその発展
漢風文化から国風文化へ
平安時代の仏教
鎌倉仏教の成立
内乱期の文化
国民的宗教の成立
近世国家の成立と歴史思想
元禄文化
儒学の日本的展開
国学と洋学
明治維新における公論尊重の理念
近代日本における西洋化と伝統文化
著者等紹介
尾藤正英[ビトウマサヒデ]
1923年大阪市に生まれる。1949年東京大学文学部国史学科卒業。専攻、日本近世史・近世思想史。現在、東京大学名誉教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゴールドまであと949日
82
意見は重視せず、一般的に歴史と考えらえていることを平易なわかりやすい文章にしたもの、それだけに印象深いというほどのことはない。その中にも、サラッと著者の歴史観や考え、主張が出ている。歴史書としては、いい感じがする。当時は当時、現代の考え方からその当時のことを放火するのでは片手落ち、その時代には、その時代の考えや常識があったはず。そういう風に考えるのが、社会を考える人の正解であろう。太平洋戦争中の出来事を戦後の、アメリカナイズされた現代日本から考えるのがおかしいのです。もっと大昔、いろいろな出来事を考える2023/12/25
佐島楓
34
参考文献として読んだ。宗教・思想については詳しいが、明治時代以降がかなりはしょられていてそこが残念。2015/04/30
to boy
25
縄文弥生時代から現代までの日本史を通して日本人の思想、宗教、哲学の変遷と社会通念の変化をわかりやすく簡潔にまとめられていて良書だと思います。日本人が他の民族と異なる考え風習をしているその根源を探ろうとする意欲作。「現生では神によって守られ、死後は仏の導きによって極楽浄土に行ける」という国民宗教が15世紀ころ成立した事。家庭や村での共同体の意識がそのまま国の形態になったが、明治維新と太平洋戦争後の占領政策により混乱しているという現代の評価は一考の価値あるようです。2020/12/31
yamahiko
12
日本文化全体をおさらいのつもりで読みました。知らなかった視点での切り口もあり、かつ端的に整理されておりとても面白く読めました。2016/06/04
kawa
10
美術史的のものを期待し手に取ったが、内容は、宗教、思想、哲学的史的なものが主。当初は学研的でかったるい印象だったが、へ〜と知ることも多数。終盤からの、明治維新後の西洋化が、本来の日本の伝統を害した結果となったという著者の論(悲惨な敗戦の遠因もここかな?)も、新鮮かつ納得感あり。個人的には、日本史に新しい視点を得られたことに大満足で読了。 2016/02/15
-
- 和書
- 中国債券市場の未来