出版社内容情報
半世紀間つぎつぎと導入された科学技術は,社会と大きな軋轢を生んだ.脳死・臓器移植,原子力事故,薬害エイズ,クローン羊誕生などの事件に社会はどう対応したのか.緻密な検証にもとづき,科学技術にどう向きあえばいいかを考察.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
shimomiyan
4
2000年に発行された本だが、科学技術とどう向き合うかというテーマは古びていない。原子力や大地震に関する問題は、東日本大震災を経て 、更に深刻になった。脳死・臓器移植、体外受精、遺伝子組み換えは、この20年で技術が大きく進展したが、検証は十分だろうか。水俣病や薬害エイズの教訓は活かされているのか。2019/11/30
tankaru
2
なかなか良い本だと思う。科学の負の側面が現れた事象に対する、原因や結果を追った解説。過去の経験を活かすために、端的に整理することは重要だろう。もちろん、正の側面はきちんと評価しなければならないが、同時に負の側面とのバランスを取らなければならない。惜しいのは、新聞科学部部長としての提言が弱いこと。多少の提言はあるものの、将来への提言には至っていない。もうちょっと踏み込んでほしかったな。2013/08/03
星規夫
1
朝日新聞で論説委員を勤めた著者が、科学技術のもたらした事件をジャーナリストの観点から解説した本。よ~くわかったのは、世に災いをもたらす原因は人の心の悪にあり、そして、それは人目のつかない闇の中で醸成されるということだ。東日本大震災における諸々の禍に対して、この視点を忘れないようにしたい。2011/10/02
にょご
1
マスコミ関係者からは科学事件をこのように捉えているのか、と興味深かった。あの時もっと大きく報道すれば大事には至らなかったのにと著者が悔いていて、そんなもの結果論でどうしようもないことだろうと思ったが、それを先読んで報道しなければならないのがこ業界の難しさなんだろうと感じた。2010/11/23
sasha
1
原子力・薬害・脳死移植等、科学技術の進歩に伴う社会との軋轢を検証し報道が果した役割を考える。科学が不得手でも分かりやすい。2010/01/04