出版社内容情報
夢は無意識の欲望を満たすべく，忘れられた幼年期の記憶を夢の中に呼びもどす．なぜ人は夢を見るのか．夢に登場するさまざまな内容は何を象徴しているのか．気鋭の精神分析家が豊富な実例分析をもとに夢の本質に大胆に迫る．
内容説明
忘れていた幼年期の記憶を呼びもどし、自らの存在の根源を再確認する―人間精神の深層にある無意識のこの欲望こそが、我々が夢を見る理由である。夢はどのようなしくみによってその欲望を満たすのか。夢に登場してくるさまざまな内容は何を象徴するのか。気鋭の精神分析家が豊富な実例分析をもとに大胆に夢の本質に迫る。
目次
第１章 空飛ぶ夢
第２章 消し去れない昔
第３章 時の架け橋
第４章 夢をあやつる知
第５章 エディプスの夢トリアス
第６章 反復する情熱
第７章 夢中の転生
第８章 夢の語らい
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
60
幼い頃、言葉を話す家族に仲間入りした体験は大きい。取り残された古い自分は動物となり夢に現れ続ける。さらにナルシシスムの断片は家族によって食物として賞味され、それもまた夢に現れ続ける。そうやって人は他者の言語を媒介としながら人としての場所を獲得していく…ここまででも十分面白いが、本書の凄いのは後半だ。外からの問（スフィンクスの問）に答えて人となる過程において、人は自分を認める（生む）者に成り代わって主体性を獲得していく…これ即ちエディプスの父殺しなのだという。夢と現実を繋ぐ言語の働きをもっと知りたくなった。2015/02/05
Gotoran
41
精神科医であり、精神分析家、しかもﾗｶﾝ研究者の著者が、豊富な夢実例分析をもとに、ﾌﾛｲﾄの夢判断を基本として、夢の仕組み・構造を明らかにしていく。夢の出来事を構造化してその意味を解読するﾌﾛｲﾄの夢判断。その手法で「空を飛ぶ」「数」「近親者の死」「謎かけ」が象徴する意味について詳細に考察される。実に興味深かった。また、‘第５章ｴﾃﾞィﾌﾟｽの夢ﾄﾘｱｽ’での芥川龍之介の『河童』あるいはｼｪｲｸｽﾋﾟｱの『ﾊﾑﾚｯﾄ』を引いてのｴﾃﾞィﾌﾟｽ･ｺﾝﾌﾟﾚｯｸｽへの言及も印象に残った。2014/12/28
阿呆った（旧・ことうら）
17
裸で困る夢＝不適切な服装で困る→適切な服装は仮面の裏に自分を隠すこと→現実世界で、『自分のやっていることが出過ぎたことかもしれないという感情が形をとらないようにしている。』なるほど。2016/09/09
デビっちん
12
夢占いの本かと思ったら、そうではなくて豊富な夢実例を分析することで夢の仕組み・構造を明らかにしていく内容だった。夢の出来事を構造化することで、象徴する意味を導く。最後の方は、夢なんだかあの世なんだか、よくわからないことになってしまった。夢と言語活動のつながりが面白い視点だと感じた。語ることで夢を睡眠の中に送り、自らの夢の返信をまた誰かに語る。夢は語ることで存在できるのかな？2016/02/11
羊の国のひつじ
11
本書はフロイトの夢分析を元に著者がいろいろ人の夢を分析する。夢が深層心理を表しているという考え方は面白い。私自身もなかなか変な夢が多いので、自分の夢を分析してほしいと思うが、知りたくもない深層心理が暴かれそうで少し嫌です(笑)2017/04/18
