出版社内容情報
現代人にとって余りにも身近で切実なアルコール中毒.それはどんな病気で,どう治療するのか,できるのか.だれもが知っておくべきことが,患者として訪ねて来たある高校の先生と医者の対話を通じて,一つ一つ懇切に語られる.話はこの病気の社会的・文化的な背景にも及び,杯の向こうに哀切にして深刻な人生ドラマが見えてくる.
内容説明
現代人にとって余りにも身近で切実なアルコール中毒。それはどんな病気で、どう治療するのか、できるのか。だれもが知っておくべきことが、患者として訪ねて来たある高校の先生と医者の対話を通じて一つ一つ懇切に語られる。話はこの病気の社会的・文化的な背景にも及び、杯の向うに哀切にして深刻な人生ドラマが見えてくる。
目次
第1章 最初の面接
第2章 意志か意地か
第3章 アルコール中毒はいかにうまれたか
第4章 再飲酒という失敗
第5章 個人的な経験
第6章 自助グループ(AAや断酒会)
第7章 人生の物差し
第8章 アルコール問題の今
著者等紹介
なだいなだ[ナダイナダ]
1929年東京に生まれる。1953年慶応義塾大学医学部卒業。現在、作家・精神科医
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ネギっ子gen
16
以前は、『娘の学校』始め氏の軽妙なエッセーをよく読んだものだが、このような著者の本業に関する本は、実は避けてきた(オトナの諸事情で…てか、自らの「断酒」から目を逸らしたかったので…)。そして、自身の「アルコール問題」が顕在化してしまった今、漸う「久里浜方式」創始者である著者のアルコール本と対面した次第で。「アルコール依存症」でなく「アルコール中毒」と表記されているように昔の本。それでも、内容的に古くなっていないように感じる(というのでは困るところではあるが…)。対話形式なため、読みやすい本になっている。⇒2020/04/21
Yuichiro Komiya
14
1人のアルコール依存性患者の治療の物語を通して、アルコール依存性の発生した経緯や治療法の発展の歴史、家族との問題や治すために必要な事などを浮き彫りにする。アルコール依存性は意志の力では治しにくく、飲みたいと思う気持ちと飲んだらいけないと思う気持ちの天秤をちょっと後者側に倒してあげるというのが参考になった。アルコールだけでなく、他の依存性にも同じことがいえると思う。2015/01/18
kayak-gohan
13
21世紀に入った今ではアディクション(依存症)という言葉が一般化したように感じられる。ギャンブル、買い物、薬物そしてアルコールなど嗜癖が嵩じて依存の道をたどる人が後を絶たない。本書ではそうしたアディクションが現代社会の陥穽になってしまった歴史的背景が解き明かされる。かつて酒は祭祀や宗教的儀式と結びついたもので、いつでも飲めるものではなかった時代があった。それが産業革命と近代都市化を経て大きく変わっていったとする論考は面白い。2025/08/31
とうゆ
7
まずタイトルが秀逸。日本のアルコール依存症治療の草分け的存在の精神科医が一般の人向けに書いた本。アル中は産業革命が可能にした大量生産による現代病、酒の法規制の挫折と道徳的指導から医療による治療への転換、また治療方法が隔離から生活改善のサポートへ変化。2023/04/09
katoyann
6
アルコール依存は、技術革新と資本主義の発展により、酒を大量に生産できるようになった社会で生まれた病だ、と著者は言う。 依存症患者の気質を述べるのではなく、患者との対話形式をとりながら、酒の歴史について説明していく。すると、例えば江戸時代では、そもそも依存症患者が生まれるほど、酒を生産することができなかったという事実を知る。 また、「酒が作った病気の治療は、酒税でするべき」(208頁)という意見も面白い。全般的にアルコール依存を社会の病とする視点が面白かった。2020/03/23
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