出版社内容情報
一九四八年(十五歳)「…今是非ほしいもの.一,白ズボン 二,ラケット 三,風呂しき 四,自転車 みんな夢である」.一九六七年(三十四歳)「…コラム執筆…魚屋に寄りサバ二本求む…百グラム二十円にて二百二十円也」.身辺の出来事,友人たちや家族とのかかわり,読書の随想から旅の記録まで,五十年にわたり書き綴られた作家の日記.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
67
五木さんの十代から六十代までの日記が掲載されています。といっても5分の4くらいは十四歳から二十歳までの日記が占めています。ですので若いころのが中心となっています。読ませようという意識もなく出来事が比較的淡々と描かれておりみずみずしさがあります。よく書かれているものだと感じました。あまり気負わずに出来事を簡単に記すのが長続きするコツなのでしょうね。2015/08/23
ikedama99
5
前に一度読んだらしいのだがほとんど覚えていない。いくつかの時期の日記(本人が抜き出している)10代は勢いがすごい、20代から30代は仕事のこと、60代も仕事だが、あちらこちらでの移動が多い。その中での思考の断片が見えるような・・。2023/12/10
aki
2
誤読の責任をとり、直木賞選考委員を辞退した五木寛之の若き日の日記。「二十歳の日記」までは普通の文学青年で、後年の大活躍を想像できず。17歳の項に安岡正篤の『世界の旅』を論じて、「幼稚、誇大妄想的にして粗野を尊しとなす、当時(戦前)の代表的人物と言えよう」と。戦後、安岡は財界人の師匠格の存在として奉られたが、17歳にして、そのうさんくささを見抜いているところなど、さすがだ。2009/02/03
ふわねこ
1
本当にただの日記で五木氏の青年期の私的な日記、連載していたエッセイを抜粋した作品である。私は五木氏の小説を読むような世代ではなく、ただ他人の日記が好きなので買って読んだ。中学生の頃の五木氏は年相応のひねくれた子供、という印象である。高校生になると多少はテキストが書けるようになり、大学生ですでに作家の片鱗が見えていた。直木賞を取る頃にはなぜか文豪風、昭和初期の文体になっていたが、還暦には自然でしまりのあるテキストを書くようになっていた。このように、文章は年功であることがわかる。2023/10/02
unterwelt
1
著者の10代から60代までの日記で、後半は活字になったものからの抜粋。著者の価値観なのか、それとも時代全体の価値観なのかは分からないが、当時の考えが見えるところが面白い。それにしても昭和天皇を「徒食の民に過ぎない」と書いたり、「女性はどんなに頭がよくとも少なくとも50%はロマンチックな夢想家でなければならぬ」なんて文章を読むと今との違いに驚いてしまう。2019/06/12