出版社内容情報
日本,朝鮮,中国に囲まれた環シナ海域――そこは人と物の交流が活発に行なわれ,文明伝播の場として歴史の重要な舞台であった.中世には倭寇が跳梁し朝鮮や明との緊張が高まる一方で,倭人たちによる密貿易も拡大してゆく.国境を縦横に越え,境界の地に跋扈する彼らの活動を,新たに朝鮮の史料を駆使して描き,雄大な中世像を提示する.
内容説明
日本、朝鮮、中国に囲まれた環シナ海域―。そこは人と物の交流が活発に行なわれ、文明伝播の場として歴史の重要な舞台であった。中世には倭寇が跳梁し朝鮮や明との緊張が高まる一方で、倭人たちによる密貿易も拡大してゆく。国境を縦横に越え、境界の地に跋扈する彼らの活動を、新たに朝鮮の史料を駆使して描き、雄大な中世像を提示する。
目次
「魏志倭人伝」によるプロローグ
1 国境をまたぐ地域(倭寇と朝鮮;地域をつくるもの;境界と国家)
2 「三浦」―異国のなかの中世(都市「三浦」の形成;周辺地域への影響;三浦の乱)
3 密貿易の構造(三浦の乱後の「日本国使臣」;倭物にむらがる人々;〈環シナ海地域〉の成熟)
中華の崩壊によるエピローグ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
エリク
27
先生から紹介された本。 めっちゃ古いし読みにくかったけど、内容は面白くて有意義ないいものでした。結構当時の西洋と同じ行動習慣を持ってて興味です。2020/09/18
★★★★★
5
日中朝の三国に囲まれた東シナ海域と、いずれの国家からも周縁的であった「倭人」と呼ばれる海民たち。彼らが跋扈した中世の東アジア海上世界を、『朝鮮王朝実録』を手がかりに描き出す一冊です。ちと話は飛ぶけど、ここいらはもともと中間的であいまいな領域だったわけで、竹島なんかの領有権でもめるのも当たり前。というか、かっちり国境線を引こうという考え自体が極めて近現代的な発想なわけですよね。エスノ・スケープといった概念が取りざたされる昨今、中世における「倭人」のあり方は非常に示唆的だと感じました。2010/04/23
さとまる
4
マージナルな東シナ海文化圏。対馬の人々と朝鮮半島南岸の人々が入り交じる世界を「三浦の乱」や「倭寇」を補助線にして読み解く。現代的な国家の枠組みで当時の社会を見てしまうと大間違いなんだなぁ。2026/01/18
hyena_no_papa
3
他の方の感想が概ね的を得ていると思うので特に書くこともなさそうだが、近現代的な国家間の通交を頭に置いてこの本を読むと、脳内がぐちゃぐちゃになる。かと言って想像を逞しくして書かれたものではなく、『朝鮮王朝実録』等の史料に基づいて具体的に記述されているので、内容に対する拒否感は湧かない。〈マージナル・マン〉という言葉は実に本書の内容を的確に表していると思う。本書で描かれる倭人の姿を私の関心事である日本古代へ当てはめたらどうなるか?袋小路に入り込みそうな古代史論争に一筋の光を灯すかも知れないとも思ったりする。2024/02/02
さとうしん
3
再版を機に再読。『朝鮮王朝実録』を主要な史料として、環シナ海域の「倭人」や「倭寇」たちを、日本にも朝鮮にも中国にも帰属せず(あるいはそのすべてに帰属しうる)、その境界に生きる「マージナル・マン」と位置づける。当時「中世」が陸の外にも飛び出していたことと、特に後期倭寇が俗説によく言われるような、「中国人が日本人を偽装した」などという単純な存在ではないことがわかる。2016/08/10




