出版社内容情報
住宅,交通,地価,緑,防災――今日,巨大都市・東京が抱える都市問題は,昭和初期の計画の未達成,戦災復興計画の挫折に起因するものが多い.明治の東京市区改正や後藤新平の帝都復興事業から現代にいたる都市計画の系譜をたどりつつ,その思想を問う.著者がみずから発掘した貴重な史料をふくめ,多数の図版を収録.
内容説明
住宅、交通、地価、緑、防災―。今日、巨大都市・東京が抱える都市問題は、昭和初期の計画の未達成や、戦災復興計画の挫折に起因するものが多い。明治の東京市区改正、後藤新平の帝都復興事業から現代にいたる都市計画の系譜をたどりつつ、その思想を問う。著者がみずから発掘した貴重な史料をふくめ、多数の図版を収録。
目次
第1章 帝都復興計画
第2章 大東京の成立と副都心の形成
第3章 郊外住宅地の形成
第4章 東京緑地計画
第5章 防空と疎開
第6章 戦災復興計画
終章 未完の東京都市計画
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
モリータ
11
◆1991年刊。著者は1952年生、北大工学研究科教授(当時、現在は名誉教授)。専攻は都市計画、都市、環境政策、社会資本論。◆東京在住ではないが、それなりに歩き回ったこともあり、面白く、啓蒙されるところ多数。しばらく同著者の書を重ねたい。そしてやはり、震災・戦災を経験し復興された土地(隅田川周辺)や、武蔵野の面影を残す風致地区を訪れ、また歩きたい。◆「東京都市計画一二〇年の歩みと今日の東京の姿を理解する鍵は、一九二三(大正一二)年の関東大震災後着手された帝都復興事業から、一九五〇(昭和二五)年の(続)2021/11/18
脳疣沼
2
現在のカオス化している東京がどうして生まれたのかがよく分かる。東京には欧米のような都市計画が皆無である印象があるのだが、この本によると「都市計画は存在した、ただ、当初の計画どおりに実行されなかっただけ(p256)」なのだそうだ。ひとつ疑問なのは、公園などが少なく、緑が十分に確保されていない(確保されるべき)と主張されている点で、本当にそこまで緑が必要なのかよく分からないのである。2014/07/27
rbyawa
2
d159、まず大雑把に関東大震災(大正13年)以前に東京市街地が急速に膨張し、「大風呂敷」とも呼ばれた後藤新平の都市計画が作られ、それが震災のちのプランの骨格となるものの縮小され、戦時中に防空対策地という名目で都市計画の予算を取ろうとするも進まず、戦後復興は敗戦国には不相応、とあしらわれて国家単位の計画ともならず地方行政の手に委ねられた上で都市計画よりも食糧を、という都知事の決意で渋谷区で10分の1、高円寺駅前で広場を作ったのみで終わり(最も計画が頓挫した都市だよ本当にww)。今まあこんな都市なわけだね。2013/11/01
とみやん📖
2
東京の都市計画を体系的に把握するのに最適入門書。今の東京の街路や公園、駅前広場などがどのようにして形成されたのか知ることが出来た。関東大震災、戦災、オリンピックと、3つの大きな節目があるものの、東京の都市計画は次第に縮小していったことが分かる。また、渋谷の宮下公園や上野公園脇のビルなど、都民に馴染みの風景に歴史が刻まれていることに関心した。戦前、井荻村の村長が残した区画整理事業の逸話も西武線ユーザーには外せない話。2013/03/26
Mr.P
2
東京に都市計画は存在した。ただ実行されなかっただけである。戦災復興計画の未実施が残念でならないですね。 今の原発問題もそうですが、物事を決断する政治の役割はやはり思い。本当に次の世代を思った判断を切に願いたい。2012/03/30