出版社内容情報
ソ連をグラスノスチと議会制民主主義の国に変え,冷戦時代を終結させる原動力となったペレストロイカ.しかしそれは,民族問題の噴出,経済改革の停滞,共産党の混迷によって危機にさらされている.発言し行動する歴史家が,大きな成果をあげながらも深刻な危機にあるペレストロイカの現状を報告し,世界史における社会主義の運命を問う.
内容説明
ソ連をグラスノスチと議会制民主主義の国に変え、冷戦時代を終結させる原動力となったペレストロイカ。しかしそれは、民族問題の噴出、経済改革の停滞、共産党の混迷によって危機にさらされている。発言し行動する歴史家が、大きな成果をあげながらも深刻な危機にあるペレストロイカの現状を報告し、世界史における社会主義の運命を問う。
目次
ゴルバチョフ、上からの革命
世界戦争の時代は終った
グラスノスチ、自由の国
議会制民主主義の誕生
連邦の危機
民族の身もだえ
市場経済への困難な道のり
共産党の危機
下からの改革、その行方
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
18
ペレストロイカ以前のソ連がどういった国だったのか、ほとんど無知だったことに気づかされた。チェルノブイリ、言論統制、民族問題など、隠されてきた歴史が縷々存在する。一部は今も続いている事柄だろう。歴史的にいろいろと難しい国だとは思うが、これからを見据えて交流すべきだと思った。2013/11/21
かずら
0
ソビエト・ロシアを社会主義国から資本主義国へシフトさせたペレストロイカ(改革)。その影響を考察した本。難しかったです。やはり岩波は難易度高い。情報量は多かったので読みこめば面白くなるかもしれないです。興味深かったのはマスメディアの章で、ペレストロイカによって爆発するように体勢への批判や官僚の不正をすっぱ抜く記事が載せられたのが感動しました。本当にこういう時代の転換というものはあるんですね。あと連邦内部の民族問題はロシアを語る上で欠かせない要素なのだと再確認。火種をたくさん抱え込んでいるのは今も昔も同じ。2014/11/09
taming_sfc
0
和田春樹先生による1990年の著作。前半3章は、ゴルバチョフの改革、いわゆるペレストロイカ、グラスノスチ、新思考外交、について極めて簡明にして造詣深い説明がなされる。中盤では、ソ連における議会制民主主義のゆくえ、民族問題についての考察、がなされ、終盤では市場経済移行の問題、共産党の危機、そして「下からの改革」について述べられる。激動の1980年代から1990年に至るソ連・ロシアの動向について、特にロシア研究に良く見られる人物中心の分析を読みたい読者には、特にお薦めの一冊である。2011/03/20