出版社内容情報
中国は太古の昔から,歌は地にあまねく満ち,楽音天に響く国であった.多くの民族に育まれ,悠久の時を経た中国音楽の豊かな世界は,文学,演劇とも深くつながり,日本の文化にも流れ込んでいる.本書は,その長大な流れと広がり,そして人びとの音楽にかけた情熱を興味深く紹介し,東アジア文化の一つのユニークな姿を映しだす.
内容説明
中国は太古の昔から、歌は地にあまねく満ち、楽音天に響く国であった。多くの民族に育まれ、悠久の時を経た中国音楽の豊かな世界は、文学、演劇とも深くつながり、日本の文化にも流れ込んでいる。本書は、その長大な流れと広がり、そして人びとの音楽にかけた情熱を興味深く紹介し、東アジア文化の一つのユニークな姿を映しだす。
目次
1 はるかな時のかなたから(伝説の音楽;よみがえる音楽;音楽と文化;文字譜)
2 演劇と語り物の音楽(中国伝統音楽の精華;「戯曲」の花開く;中国「戯曲」の代表・京劇;語り物音楽)
3 大地に満ちる歌(「易水の別れ」と「白毛女」;河曲の民謡と「走西口」;時代を超える「西北風」;「風吹き草たれて」;一山一水一聖人;「茉莉花」と「孟姜女」;常春の地に恋歌が流れて)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
天茶
1
★★★☆☆ 文字で音楽世界を解説することの難しさ……。古代の音楽についての解説は本当に難解だったが、道家や儒家などで音楽へのスタンスの違いがあったのは面白い。後半の戯曲の歴史は分かりやすかったし、何より本書を読んで一番良かったのは「大地に満ちる歌」として各地の民謡の特色を紹介している部分。六日間ぶっ通しで歌い続けるなど、ひたすら黙々と畑を耕しているイメージのある中国農民の豊かな情感の世界が垣間見えた。それは歌に癒しを求めなければ生きていけないほどの苦しい生活のせいでもあるのだろうが、彼らの逞しさも感じる2021/08/21
韓信
0
先秦時代の楽器や唐代以降の楽譜の紹介、詩詞や演劇と音楽の関わり、中国各地の民謡の紹介など、中国の音楽の歴史を解りやすく説き起こす概説書。竹林七賢の嵆康が好んだことで知られる広陵散や、宋詞の曲が復元されているという話が面白いが、明代の楽譜から復元した現代の広陵散は、魏晋の時代から変化しているのではないか。本書のなかでとくに興味深かったのは西洋音楽は交響楽のように立体的に、中国と日本の伝統音楽は単線的に発展してきたという指摘。メロディが重視されるその傾向はJポップのメロディ偏重として現在まで続いているようだ。2013/08/31
カネコ
0
○2009/11/10
丰
0
Y-102000/03/26
Silver Machine
0
奇書の類であろう。「音楽世界」と銘打ちながら、ほとんどは歌われる歌詞の内容の解説に終始する。「こんな凄い楽器があった!」→「2000年埋もれていたので奏法等一切不明。」 「こんな素晴らしい歌が歌われていた!」→「200年後には廃れて詳細不明。」こんな感じでひたすら文献解説で「中国音楽凄い!」に終始して、どんな音楽がどのような美学のもとにどんなスキームで演奏され、それがどんな歴史をたどってきたのかとかの客観的史実はさっぱりわからない。その混乱が中国音楽なのだ!というサジェスチョンは得た。2021/04/14