出版社内容情報
「雪はげし抱かれて息のつまりしこと」「短夜の看とり給ふも縁かな」.今,空前の女性俳句ブームといわれる.女性はなぜ俳句を作るのか.男性と女性の句に違いはあるのだろうか.斯波園女・加賀の千代女から杉田久女・細見綾子に至る近世から現代までの女性俳人十二人を選び,彼女らの生きざまと,その作品世界の魅力を解き明かす.
内容説明
「雪はげし抱かれて息のつまりしこと」「短夜の看とり給ふも縁かな」。今、空前の女性俳句ブームといわれる。女性はなぜ俳句を作るのか。男性と女性の句に違いはあるのだろうか。加賀の千代女から杉田久女・細見綾子に至る近世から現代までの女性俳人12人を選び、ひたむきに自己表現を求める彼女らの生きざまと、作品世界の魅力を解き明かす。
目次
田捨女―丹波に生まれた清冽な魂
斯波園女―才と気骨のプロ俳人
千代女―北国に生きた柔艶の女性
榎本星布―近代的感覚の詩性と孤愁
田上菊舎―瀟洒・闊達の文人尼
竹下しづの女―強靱な意志と知の人
杉田久女―端正・優艶のナルシシズム
橋本多佳子―はげしい気息と感性の才媛
三橋鷹女―幽玄・華麗な老年を描く
中村汀女―豊潤な母性とこまやかな日常諷詠
石橋秀野―凄絶のいのちをうたう
細見綾子―生涯を貫く無礙の詩心
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
かふ
21
短歌ならば31文字で己の気持ちを読み込むことが出来るが俳句は17文字の短詩でそこに己の気持ちを入れ込むのは難しい。そして俳句の伝統は江戸時代の儒教的空気の中で育まれてきた。和歌の女流歌人が活躍した宮中の宴とは違うのである。しかし女性俳人は俳句でも自己を詠みたかったのではないか?また短歌から俳句に移る人も多いようだ。https://note.com/aoyadokari/n/n74c2424e4fb32023/06/08
双海(ふたみ)
19
「川ばかり闇はながれて蛍かな」(千代女:元禄16年~安永4年)・・・まるで近代の浪漫詩人の詩の一篇のような句。 「蝶老てたましゐ菊にあそぶ哉」(榎本星布:享保17年~文化11年)・・・近代の俳人水原秋櫻子「冬菊のまとふはおのが光のみ」を想起させる句。しかしそこには俳諧と俳句の差異が見られる。すなわち、秋櫻子は視覚に徹し、星布には観念の揺曳がある。 「菜の花がしあはせさうに黄色して」(細見綾子:明治40年~平成9年)・・・童女のまなざしを終生忘れなかった稀有な俳人。尊い。2015/11/14
meg
2
俳句にジェンダーはない。 女性の感性が生きている。とても興味深い。2023/07/01
丰
0
Y-212000/10/20