出版社内容情報
一九三二年から日米開戦直後までの十年間,駐日大使を務めたジョセフ・グルーは,帰国後各地で知日派として独自の天皇観・日本論を語った.GHQの占領政策,特に天皇制の存続に尽力した彼の厖大な手記と手紙をもとに,吉田茂らとの秘められた関係,マッカーサーとの意外な接点,そして「象徴」という呼称の誕生に至る経過に光をあてる.
内容説明
1932年から日米開戦直後までの10年間、駐日米国大使を務めたグルーは、帰国後各地で「知日派」として独自の天皇観・日本論を語った。GHQの占領政策、特に天皇制の存続に尽力した彼の厖大な手記と手紙をもとに、初めて吉田茂らとの秘められた関係、マッカーサーとの意外な接点、そして「象徴」という呼称の誕生に至る経過に光をあてる。
目次
序 『滞日10年』の成立事情
1 “Report from Tokyo”―日本軍国主議批判
2 和平のテーマ―鍵としての天皇制
3 シカゴ演説―集中砲火をあびる
4 『滞日10年』の刊行
4 隠健派とは何か―牧野伸顕・樺山愛輔・吉田茂
6 対日戦後計画の形成―グルーの遠図
7 ポツダム宣言―奮闘するグルー
8 グルーとマッカーサー
9 「象徴」の由来―3つの流れ
おわりに―象徴天皇制の成立
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Toska
3
「天皇を統治に利用した』と雑にまとめられがちな戦後アメリカの対日政策について、その成り立ちを丹念に追いかけた労作。実際、グルーら親日派が親中派との勢力争いに破れていたとしたら、米国の対日政策は大きく変わっていた可能性があるわけで、我々にとっては無視できない史実と思う。ただ、日本に対するグルーの親近感が吉田茂らひと握りの「穏健派」との交流に根ざしていた、という事実には釈然としないものを感じる。2021/12/14
バルジ
2
「象徴天皇」の思想的始源についてグルーを中心に検討し、どう結実していったのかを探っている。非常に細かな論証でやや煩瑣だが読み応えある内容。 終章の日本国憲法へ天皇の「象徴」という語を巡り、イギリスの王室論を媒介とした一定の源流が最終的に一つの流れとなって歴史を創っていく模様は圧巻だった。2018/08/18
ホンドテン
0
所有。2014/08/08
kukikeikou
0
The Emperor shall be the symbol…(略)へ、is a symbolからの変更。「英国憲政論」の援用。日本の私製憲法草案にも既に象徴としての天皇という言い回しが。日本の民主的統治体制を担保する為の天皇制存置と天皇制に基づく再軍国化の恐れが無い事を保証する為の平和条項、第一条と第九条の相互関係2015/02/18