出版社内容情報
毛沢東の革命路線から開放政策へ,そして戒厳令へ.中国はこの四十年,激動を続けてきた.中国社会主義革命とは何であったのか.本書は毛沢東の社会主義のモデル,文化大革命期の思想と行動を詳細に分析する.また彼を育んだ湖南省の風土やその詩に託された人生観を考察し複雑な人物像に光を当て,毛沢東の現代中国における位置を明らかにする.
内容説明
毛沢東の革命路線から開放政策へ、そして戒厳令へ。中国は40年間、激動を続けてきた。中国社会主義革命とは何であったのか。本書は毛沢東の社会主義のモデル、文化大革命期の思想と行動を詳細に分析する。また彼を育んだ湖南省の風土や詩に託された人生観を考察し複雑な人物像に光を当て、毛沢東の現代中国における位置を明らかにする。
目次
天安門上の毛沢東
毛沢東の原点
湖南の学風
革命と詩
国家建設のプラン
思想改造
スターリン批判と反右派闘争
文化大革命の嵐
晩年の毛沢東
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nobody
12
中国の恐ろしさを洗うには本書だけでは不十分である。欲しいのは事実だが、中庸な立場の中国本はまずない。毛が血を恐れ雀を射ちとって持って帰った部下に雀がどんな悪さをしたというのだ、雀にも生命がある、これからは射ってはならんと叱ったとあるが、後に国レベルで雀退治を行ったのも彼である(後者は本書になし)。「整風を始めるにあたって、毛はソ連から帰国した連中が好んで口にしかつ実行した『残酷な闘争』、『無情な打撃』のやり方に対し嫌悪の情をもって言及、整風は『病を治して人を救う』のが目的だ」とする一方で「我々は始皇帝の上2020/02/19
skunk_c
10
1989年の天安門事件直後の出版。貝塚茂樹の著作の後の時代を中心にしている。したがって前半はテーマを立てかなり話があちこちに飛ぶ。一方1950年代後半以降は、反フルシチョフ、百家争鳴、そして文化大革命(この「文化」という言葉がほぼ思想をあらわしていることは本書で知った)について、割合淡々と記述する。毛沢東という人物の大きさと、「階級闘争」というぶれない視点、そして相当な頑固さと戦略性を、抑えた筆致で記しているのは、おそらく著者が毛沢東にかなり好感を持っているからではないか。当面謎の解けない人物と言えよう。2016/01/11
高橋 橘苑
3
まあ、概説程度の知識は得られた。イデオロギーと権力が絡みつくとまともな感覚を失ってしまう様だ。それにしても、日本の歴史には見当たらない異常な自己正当化をする人物で、ちょっと精神の疾患を疑ってしまう。このような人物が、建国の父であるというのは中国人民の不幸であると思う。特に、梁漱冥への罵詈雑言とかはこの人物の品位の無さがよくわかる。又、社会を混乱させてでも権力保持を謀ったこの人物の性格は、卑劣というか薄気味悪い。変革期には、この手の人物が大物に見えるのだろうか。著者の責任では無いが、読んでいて吐き気がした。2013/08/31
wei xian tiang
2
読めば読むほど、かの国の政争の激しさは凄まじい。延安以来無限に繰り返される幹部の権力闘争において、負ければ右派だの走資派だの適当な罪名を付けて殺されるので、文字通り命を懸けて政争に励むのは一種の永久運動だが、本質は同じでも罪名、つまり武器の部分だけが時代により付け替えられる。習政権の反腐敗なる金看板も、須らく幹部が腐敗している国なので誰に対しても使えるオールマイティな武器に過ぎず、結局本質は文革と大して変わってないんだろうなという気がする。2017/10/19
おらひらお
2
1989年初版。中国の権力闘争のすさまじさを垣間見せる内容。民衆の政治不信を根付かせたとの指摘あり。なかなか本音で話せない社会のようです。2011/02/13
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