出版社内容情報
愛知県渥美半島は菊,キャベツ,メロンなど換金性の高い作物づくりとハウス栽培で知られている.市場価格に一喜一憂する人びとの胸算用と皮算用,高級車で疾走する若者,ゲートボールに興じる老人,カラオケでマイクを握る女たち.現代農業の断面と人間模様が交錯する岬の日常を,自然と四季の味覚を織りまぜて暖かく描く.
内容説明
ハウス栽培で有名な愛知県渥美半島に暮らす人びとの日常と現代農業の断面を、岬の豊かな自然と四季の味覚を織りまぜて描くエッセイ。
目次
1 岬の村から
2 夏菊
3 秋の鰆
4 冬の決算
5 春潮
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
24
嫁いびり(15頁~)。マイカーなど持って来るで、油代がかかって仕方がない(17頁)。嫁には人権がないのか? そんな時代もあった。亡き母も随分と農家で苦労し、共働きで兄貴と私を養ってくれたが、孝行できず仕舞だった。懺悔している。本書は歳時記のような、エッセイで、ユーモアもある。農ある暮らしで、楽しみや自由もなければやってはいかれないのがひしひしとわかる。農版外山滋比古かも。2015/08/05
穀雨
3
愛知県の渥美半島出身の著者が、ふるさとの四季折々の味覚や農村の人間模様について書き綴ったエッセイ集。農村歳時記ともいうのだろうか。私も渥美で生まれ育ったのでなじみのある地名も多く、当時と現在の違いにおどろきつつも興味深く読んだ。農家のお母さんらが自慢の衣装をまとい、一晩中カラオケで歌い明かすなど、今では考えられないような描写もあって、面白かった。2019/02/08
カンジ
3
農業に興味があってタイトルだけで思わず手にしました。でも時代と地域がちょっとずれてたかな?今はもっと厳しいのかな?うちも昔は田んぼもやってたし畑も作ってたので、懐かしむことはできました。今日パルスで枝豆の種を買いました。明日、子どもたちと畑の草取りをして、耕して、植えてみよう。2016/05/14
丰
1
Y-202008/10/20
さゆう
0
古本屋で見つけ、購入。タイトルから推察して、詩的な文章や過去を懐かしむ話のオンパレードなのだろう。と、思いきや、なんともユーモラスなエッセイでした。「農業の機械化に対応出来ず、老人達は除け者になっている」とジョーク混じりに語る文章は、著者がご年配だからこそ嫌味なくキレがあって面白い。これまでなんとなしに野菜の産地を見れば、愛知産と書かれているものが多くあった。生産者の営業的なアピールではない、経営者としての一面が知られ、ちょっぴり愛知県産野菜が気になり出す一冊でした。2021/06/13