出版社内容情報
「御真影」――かつて天皇の肖像写真はそう呼ばれた.それは天皇と同一視され,礼拝と取扱いをめぐる儀礼は,天皇制国家を形成し維持する強力な装置となっていた.本書は,明治維新期には民衆の目に見えなかった天皇が姿を現わし,ついには「御真影」として礼拝されるまでを描きつつ,そこから近代天皇制が成立するメカニズムを明らかにする.
内容説明
「御真影」―かつての天皇の肖像写真はそう呼ばれた。それは天皇と同一視され、礼拝と取扱いをめぐる儀礼は、天皇制国家を形成し維持する強力な装置となっていた。本書では、明治維新期には民衆の目に見えなかった天皇が姿を現わし、ついには「御真影」として礼拝されるまでを描きつつ、そこから近代天皇制が成立するメカニズムを明らかにする。
目次
第1章 見えない天皇から見える天皇へ
第2章 和魂洋才と明治維新
第3章 巡幸の時代
第4章 「御真影」の誕生
第5章 理想の明治天皇像
第6章 民衆と「御真影」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Toska
11
本書で言う肖像は比喩表現ではなく、天皇の文字通りの肖像すなわち「御真影」のこと。写真の発明は明治維新よりわずか30年前の出来事だというから、日本は猛烈な勢いで近代に巻き込まれたことになる。写真に先行するメディア・錦絵が描いた天皇、欧米と異なり君主の肖像が貨幣に描かれなかった事情、明治5年と21年の間に図られた天皇肖像のアップデート等々、論点は多岐にわたりいずれも興味深い。御真影が強制的な配布ではなく下からの請願→下賜という形式を取ったことなど、天皇制のあり方を象徴しているのではないか。2026/05/20
牛タン
4
内容:庶民の娯楽としての錦絵から一度姿を消し、聖性を含んだ御真影として再登場した天皇の姿。政府から下位の省庁 、地方自治体、学校への御真影の下付制度と、御真影の取り扱いの儀礼化を通して、天皇を中心とする新しい国家の支配体制が確立されていった。 感想:天皇制と階級社会の最下層が表裏一体という主張はよく耳にするが、肖像の下付というシステムを通してそれが顕在化したかたちで現れるのは面白い。2016/12/20
ほろぞあ
2
明治維新後、近代的な一つの国家空間が形成されるにあたって、近代的な視覚体験や視覚装置によって見る・見られるものとして、天皇のイメージが果たした役割の考察。2017/05/09
yanapong
1
明治天皇の「御真影」研究に関する最もわかりやすい入門にして基礎。「御真影」は国民統治の政治的装置かつ国民統合の表象としての機能を果たした。2021/02/22
秋色の服(旧カットマン)
1
ラストの第6章のロジックは概念的で私には難しすぎてフォローできなかった。その前までは明治の天皇制の成立史として読めるので非常に面白い。御真影の下付システム(下に欲しがらせる)。なるほど。2017/01/07




