岩波新書
中国語と近代日本

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  • サイズ 新書判/ページ数 214p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004300120
  • NDC分類 820.7
  • Cコード C0287

出版社内容情報

日中国交正常化以来,日本人の中国への関心が高まり,中国語学習者が増加している.本書は中国語教育という窓口から近代日中関係史の全体と日本人の中国認識を解明しようとするものである.中国語を単に商用や戦争遂行の手段とみなした戦前のあり方を批判し,友好と理解への架け橋として中国語を学習することの必要性を説く.

内容説明

日中国交正常化以来、日本人の中国への関心が高まり、中国語学習者が増加している。本書は中国語教育という窓口から近代日中関係史の全体と日本人の中国認識を解明しようとするものである。中国語を単に商用や戦争遂行の手段とみなした戦前のあり方を批判し、友好と理解への架け橋として中国語を学習することの必要性を説く。

目次

1 中国語と戦前の教育制度(「特殊語学」ということ;明治前期の中国語教育制度;「民間」について;中国語と目薬の関係)
2 『急就篇』とその周辺(宮島大八と二葉亭四迷;「問答体」教本の系譜;『急就篇』をめぐって;「問答体」教本その後)
3 中国語と漢文(中国認識の二種構造;「目読主義」と「会話主義」;「唐音論」の伝統)
4 中国語教育の流派(中国語教師の類型;科学的研究の先駆;もう一つの先駆的業績)
5 戦争と中国語(「戦争語学」;時文;「沿線官話」;戦時中の一経験について)
6 戦時下の胎動(中国における新しい動き;屈折と模索と;「理論と実際」に投じた一石)
7 戦後の中国語普及運動(中国語普及の運動;「中国語は外国語である」;発音表記の問題;「友好」を問う)
8 渓流から大河へ(辞書について;異文化として;幾つかの問題点;教養としての中国語)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Hatann

8
中国語教育の在り方から近代日中関係史と日本人の中国認識を解明する。明治維新後、英語を始めドイツ語・フランス語といったヨーロッパ言語が、相手の文化を学ぶものだったのに対し、中国語は、商業面及び軍事面で中国人に進出する際の実用語として学ばれた。エリート層の学生が適切な文法の教授を求めるのに対し、教師は文法なんか必要ないと一喝した。読む漢文が教養として貴ばれたのに対し、話す口語は時文と呼ばれて低く見られたというエピソードにも、日本人の弱い語学力の源流を見る。現地の多様な口語を知ることでホントの中国は見えてくる。2023/09/11

陽香

2
198802222016/04/05

hatohebi

2
明治維新後、英仏独語が西洋文明を取り入れるためのエリート寄りの語学だったのに対し、中国語は軍事と商用を主とした「特殊語学」だった点に近代日本と中国の関係を見ている。東京外語で中国語を学んだ宮島大八が、ロシア語科に属していた二葉亭四迷と共に在野意識・国士意識を持っていたというのは面白い。「日本人の中国認識の二重構造」として「現実世界への侮蔑と古典世界への尊崇」を指摘しているのも興味深い(漱石「満韓ところどころ」もそう)。単なる語学史に留まらず、日本人の中国像解明の手がかりにもなる好著だ。2015/03/18

錢知溫 qiánzhīwēn

1
(現・古不問)漢語を學習する方には、一讀をおすすめしたい。安藤先生はご自身の體驗や知人友人とのやり取りという個別具體的なものを、日本の(口語)中國語敎育全體に巧みに位置づけながら論じておられるように思えた。 また全書を通じ「中國語を中國語として理解する」すなわち日本語の延長上ではなく、中國語をあくまでも外國語とし理解するべきだとする主張が一本通っている。筆者あゆも(古典暗誦を通じて、ではあるけれど)「中國語をあくまでも外國語として理解する」ことの大切さが身に染み始めているので心の底から共感を覺えた。2022/06/05

アブストラ

0
もっぱら近代日本でのシナ語研究/シナ語教育の歴史についての本。近代日本語がシナ語に与えた影響については、書名から予期されるところに反して触れていない。ドサクサで慰安婦強制連行という、この本の出版当時ホットだったデマを混ぜ込んでいる。岩波の本はそういう義務でもあるの?2014/08/24

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