岩波新書<br> 戒厳令下チリ潜入記 - ある映画監督の冒険

岩波新書
戒厳令下チリ潜入記 - ある映画監督の冒険

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  • サイズ 新書判/ページ数 225p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004203599
  • NDC分類 966
  • Cコード C0295

出版社内容情報

ヨーロッパ亡命中のチリ反政府派の映画監督ミゲル・リティンは,一九八五年,変装して戒厳令下の祖国に潜入,『チリに関する全記録』の撮影に成功した.スラム街や大統領府内の模様,武装ゲリラ幹部との地下会見,母や旧友との劇的な再会…….死の危険を遂にくぐりぬけるまでの奇跡の六週間が,ノーベル賞作家によって見事に記録された.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

174
マルケスが亡命中のチリの映画監督、ミゲル・レティンから聞き取ったことを書き記したもの。ルポルタージュともいえるが、マルケスが自身の文体で、しかも1人称語りをとっているので、ルポルタージュ風の小説と見ることもできる。先のアジェンデ政権の支持者であったリティンはチリから永久追放の身でありながら、周到な変装(母親さえ見破れないほど)でチリに潜入。貴重な記録になるとともに、ピノチェト軍政下のチリの実情を世界に知らしめた。マルケスは、自らの感情を交えることなく、淡々と語るが、底流には熱い自由への渇望があるだろう。2014/06/18

藤月はな(灯れ松明の火)

39
アイデンティティである鬚を剃り、チリに肉親がいるウルグアイ人という人格とは「別」の人物となって独裁下にあるチリへ潜入した映画監督の実体験をマルケスが書き起こしたもの。監督自身は注意されたにもかかわらず、タクシーから降りて群衆に混ざったりしていますが、目を覆いたくなるようなことは起きません。但し、時々、入る市民が拘束された情報や市井の人々の噂話、警察や入国管理官の態度によって爪先から黴て全身が次第に覆われるような恐怖を想起されました。穏やかさの中にある緊迫感と独裁下でも失われない市民生活が印象的2014/07/02

山口透析鉄

31
軍事政権下のチリのルポです。けっこう際どいところまで迫られていて、何とか海外脱出できたというスリルもあって、やはり貴重な記録です。 アジェンデ政権が米CIAに倒され、ピノチェト将軍による軍事政権が続いていた頃のチリに潜入していましたので、ガルシア・マルケス、あまり政治的な発言もせず、バルガス・リョサみたいに選挙に出たりもしませんでしたが、南米の政治にコミットしていた部分、確実にあったのでしょうし、文豪ならばそういうのもないと物足りないです。 これも文京区の図書館で借りました。1991/06/29

kochi

22
アジェンデ政権が倒れたクーデターで国を追われ、亡命生活中の映画監督ミゲルは、支援者の協力を得て、密かに帰国し、軍事政権下のチリを主題としたドキュメンタリー映画の撮影を企図する。ウルグアイ人ビジネスマンの身分を手に入れ、顔形を変え、変装して入国したミゲルの文字通りの冒険を、ノーベル文学賞受賞の作家マルケスが描く。冒頭の描写の緊迫感に、本作自身がよくできた映画のようである。クーデター後も、国内ではレジスタンスが活動し、逮捕された息子達への拷問をやめさせるために、焼身自殺した父親の話には、親として圧倒される。2019/05/31

かもめ通信

20
ピノチェト政権時代戒厳令下で帰国禁止リストに載せられ、二度と祖国の土を踏むことは許さないと通告されているにもかかわらず、祖国チリに潜入し軍事政権を告発する映画を撮った、亡命チリ人の映画監督ミゲル・リティンの体験談をガルシア=マルケスがまとめたというルポルタージュ。面白いとは聞いていたが、まさかこれほどとは思わなかった。スリルもサスペンスも半端じゃない。しかもこれ実話だし!手に汗握って一気読み?!2014/08/05

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