出版社内容情報
日ごろ何気なく目にしている花や木も,実は多様な民族の,長い文化的営為によって生みだされたものであった――著名な植物学者が,世界史の中での花文化の発展や,民族による花の美意識のちがいを探りつつ,現在見られるあでやかな栽培花卉がどんな道筋をたどって変貌してきたのかを語り,また日本の園芸文化の独自性に説き及ぶ.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
1.3manen
6
1986年初出。園芸はホーティカルチャー(26頁)。花卉園芸文化は、上流特権者から、中層、さらに下層へと浸透するという、トップダウンの方向性(140頁)。ちょっと貧富の格差を感じて不快である。市民のための園芸、という意味では、この間から注目している市民農園(クラインガルテン)の方が階級格差を感じないと思った。2013/06/07
かもすぱ
5
1986年著。園芸と鑑賞の世界史。花卉園芸文化というのは歴史上の時代や国で満遍なく発展してきたかと思いきや、そうでもないらしい。江戸時代の先鋭化した園芸オタクの作品の一部が、別の文化から好まれて持ち出される例とかは、いつの時代でも似たようなもんだなと思ったり。逆に日本で魔改造されて海外から評価されなかった「古典園芸植物」に独自の美学を見出すなどの考察もあり。そうなると他の文化が持っていて日本に無い美学についても気になってくる。2021/10/12
イボンヌ
4
万葉集では、桜より梅の歌が断然多く読まれている事を初めてしりました。2026/02/22
in medio tutissimus ibis.
3
花卉の文化は温帯ユーラシアの極東西の辺境に花開いた。それは、中国からオリエントまで、建物で中庭を囲う内包庭園の世界であり、極めて人工的な環境となるその庭では、極めて巨大な家を持つ権力者にのみ園芸楽しみが独占され、なかなか中間層以下へ文化が広がらないからである。オリエントの系譜に連なる西欧は人工交配や大発見の時代のプラントハントによる博物主義で今日の園芸のスタンダードを作ったのに対し、中国の系譜にあった日本の園芸は盆景を盆栽に進化させた様に個性的なパフォーマンスとしての園芸でありそれは江戸時代に極致に至った2021/08/21
shou
2
園芸の世界史。東西の歴史をカバーし、期待以上に面白い内容だった。家の周りに庭を持つ住居の構造が花卉文化を産んだとする説明に成程と思う。2022/01/16




