出版社内容情報
「麗子像」「切通しの写生」などで有名な岸田劉生は,はじめ西洋に学びながら執拗に「内なる美」を追求することで,日本の油絵に前人未踏の境地を切り開いた.劉生の画業のダイナミックな変貌の軌跡をあとづけつつ,宗教的情熱と自己顕示欲,「白樺」的反省と人を驚かす奇矯な言動とが交錯する,謎の多い人間像に迫る.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
masawo
8
美術史家である著者が、画家が生前描こうとした「美」とは何か、文筆及び画業それぞれの側面からスリリングに迫る一冊。家族や仲間内ではなく、第三者の視点から画風の推移や転機となった作品について解説しており、理論家としての岸田劉生の生き様を知ることができた。2021/08/02
たつた。、。
2
背景を知ると作品の見方が深くなることを、実際に体感。美術にはまる人の気持ちが少しわかった気がする。2021/07/16
hyena_no_papa
2
35年ぶりに再読。子供の頃から劉生の代表作「切り通しの写生」が脳裡から離れなかった。実際に東京国立近代美術館に行って直にこの画を見たし、代々木まで足を伸ばしてモチーフとなった切り通しの跡も訪れた。ならば少しは劉生の基本的なことを知っておかねばと思い清張の「岸田劉生晩景」とともに僅かだが読んでみたうちの1冊。淡々と劉生について書き進められてゆくが最後に著者は「岸田劉生こそ近代日本の美術界における最も偉大な天才」と自身の実感を述べている。美術界には疎いが劉生の画が私を魅了して離さないのは紛れもない事実だ。2021/02/07
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