岩波新書
徳政令 - 中世の法と慣習

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  • サイズ 新書判/ページ数 213p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004202189
  • NDC分類 322.14
  • Cコード C0221

出版社内容情報

今日の日本で,ある日突然,一切の債権・債務を放棄する法令が出されたとしたら,一体どういう事態がおこるだろうか.中世に姿をあらわし,形をかえて近世にもみられる徳政という施策は,現代の常識からは理解しがたい数々の謎を含んでいる.徳政令の出現とその機能を探り,近代以前の日本人を支配していた慣習や法意識を明らかにする.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

12
83年第1刷、16年第4刷■徳政令と言えば「永仁の徳政令」が有名だが、それ自体の顛末には少し触れるだけで、中世の法や慣習、人々の意識を見ながら、永仁の徳政令が出るまでの経緯や背景、後世への影響を考察■永仁の徳政令は、御家人の借金を棒引きにしたが、新たに借入ができなくなって逆に困窮、その不満が鎌倉倒幕の一因になった「悪法」との理解は正しくない、と既に指摘されているのだが、学校で習ったのはこの正しくない理解だったように思う。室町時代にも「徳政」は出てくるが、そもそもなぜ「徳政」と呼ばれたのか。2018/12/29

左京大夫

7
中世世界における法慣習について非常にわかりやすく解説している本です。新書という一般向けの媒体ではありますが、中世史について学びたいという人にとっては必読と言っても良い一冊でしょう。著者の笠松さんは文章が上手い方なので、予備知識ゼロでも楽しく読めるのではないかと思います。2016/07/24

アメヲトコ

6
鎌倉幕府の悪政の代表例のように教科書で紹介されていた徳政令は、なぜ「徳」の政と呼ばれたのか。文書の精緻な読解から中世の法思想の本質へと迫っていく文章は圧巻です。今年のアンコール復刊の一冊ですが、名著の名に恥じません。昔の新書のハイレベルさよ。2016/07/25

NoControl

5
鎌倉時代は法令が発布されても、それを体系的に把握している人が発布する機関を含めて誰もおらず、訴訟で戦うときはまず根拠となる法令を探さなければいけなかった、という驚きの内容から本が始まり、そんな中例外的に大衆に広く迅速周知された徳政令は何者だったのかを解き明かしています。そして中世法令思想全般にも踏み込んで概観しています。内容の濃さもさることながら、文章が非常に読みやすく、ほかの人にも是非とも勧めたい一冊です。2018/11/12

tnk

4
鎌倉時代の法観念を、土地法を軸に描き出した法制史の名著。 表題は弘安徳政と永仁徳政令を指し、前者の理論的インパクト、後者の実際的インパクトが強調される。 弘安徳政は本主権を基盤とした「合理化」であろう。幕府法が在地法を飲み込み、公家法も幕府法に接近することで、中央の法が成立する。その実効のため、訴訟制度の整備も進む。 この潮流は社会に浸透し、更に爆発させたのが永仁徳政令であり、中世法としては異常なほどの周知を見た。 永仁徳政令=アメと越訴の廃止=ムチを、北条貞時の集権化における不可分の政策としたのは卓見。2019/01/04

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