出版社内容情報
上野動物園の獣医さんが,飼育技師の人々と共に,動物の健康を守るべく日夜努力している様子をユーモアあふれる筆致で描いた奮闘記.親がわりに人工哺育でマントヒヒの子供を育てる話や,逃げまわるキリンに目薬をつける話など,誕生から死に至るまでのさまざまなエピソードを通して,動物たちが親しみにみちた姿で登場する.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぱせり
4
心に残るのは動物園での死に関して。「動物の死に数多く直面しそれを見つめてきた私たちにとっても、死は決して慣れてしまうような性質のものではありません」 救うことのできない重い病気をかかえた動物について書かれた言葉も心に残っている。人には到底及ばないような知恵が動物たちには備わっているのではないかと思う言葉など。2021/03/21
joyjoy
3
1982年の本だから、動物園の現状もおそらくかなり変わっているだろうけれど、獣医さんが語る上野動物園の裏話、興味深く読んだ。動物たちが、少々のけがや病気では、苦しんでいる(痛がっている)様子を見せないことに、人間とのちがい、と言うか、野生に生きるもののたくましさを感じた。またその自然治癒力も、目を見張るものがある。動物の種類ごとのちがいはもちろんあるが、常に個々の個体と向き合うことの大切さは、人にも通じる。久しぶりに動物園へ行ってみたくなった。2021/06/24
naoto
0
上野動物園の獣医さんの書いた本。動物は痛みに強い、痛みを見せないっ。そうだよな、野生では弱ってるところを見せたら、肉食動物の餌食になっちゃうんだもんね。2016/05/14
ともさん
0
名著中の名著。
どて
0
動物が好きだ。動物を助けたい。しかし、彼らは言葉を持たず、治療の必要性は理解できない。理想と現実の間にある大きなギャップを現場で嫌というほど感じた医師の諦念は一種の諧謔性を帯びて、文章に不思議な軽妙さと、もの悲しさを潜ませる。ああ、もし私がドクタードリトルであったなら!2012/12/20