出版社内容情報
一四九二年八月三日,コロンブスの乗ったサンタ・マリア号は静かにパロス港を出帆した.コロンブスはどこへ行こうとしたのだろうか.彼はそこに何を求め,また,何に支えられて航海したのであろうか.大航海時代とよばれる世界史の一大転換期を背景に,謎に満ちたコロンブスの生涯と,その事業の歴史的意味を描き出す.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
翔亀
42
【始原へ49】アステカやインカ(アンデス)を探検するのはわかるとしても、あれほどまでに暴虐の限りを尽くして征服したのは、単に黄金(=富)を求めたからだったのか。現代の眼から見ると経済の論理だろうと思ってしまうが、コロンブスに焦点を当てた本書を読むと、そんな簡単な話ではなかったことが判る。15~16世紀のスペインの思想史に征服を必然とする根拠が示されていて、唖然とするとともに、これだから西欧はついに分からんと呆然とする。■コロンブスの航海や伝記は最小限に留め、彼を生み出した時代環境を論じた講演が本書。↓2021/09/02
ジュンジュン
11
ラテンアメリカ史の泰斗が描くコロンブス像とその意義は明快だ。必然の産物として新大陸「発見」があり、コロンブスも革命的な異端児などではなく、当時の社会が生んだ「時代の子」だったとみる。彼がジェノヴァ人だった必然、彼を援助したのがジェノヴァ商人と改宗者(ユダヤ教から)だった必然、西に向かった必然等々、どれも納得の考察だった。一番の驚きは当時の世界像。彼が目指したインディアスは今のインドではなく、空想上のインディアス大半島だった!2023/05/08
xin
2
伝記的な情報がそれほど多く伝わっているわけではないコロンブスという人間の背景を解き明かすために、中世から大航海時代へと至るヨーロッパの政治状況や同時代のスペインの社会的・思想的環境についてかなりの紙幅が割かれている。「コロンブスは今のインドに直接向かおうとしたわけではなかった」「彼は天才的な思いつきや卓見によって航海を始めたのではなかった」などの彼についての通俗的理解をひっくり返す当時の思想状況は面白い。2014/04/24
yanapong
0
大航海時代の泰斗によるコロンブス本。インディアス発見を生んだ背景について。2010/12/25
丰
0
Y-202000/03/08
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- 和書
- 小さいうさぎと大都会