出版社内容情報
「数」の概念は科学の基本であり,その理論の展開の美しさには,誰しもが知的なよろこびをおぼえずにはいられない.本書はユークリッドの原論から説きおこし,誰もが知っているあたりまえと思われる事柄をも現代的視点に立って吟味しなおしつつ,数の体系の展開をていねいに記述する.数学の面白さを心ゆくまで味わうことができよう.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mft
2
上巻で構成した整数を元に、有理数そして実数の構成へと進む。基本的にはデデキントの切断の考えを定義として採用しているが、他の特徴付け(有界単調列の収束、区間縮小の原理など)もそこから証明してある。付録(本文ほど厳密な議論をしない)に回されたもののコーシー列の方法による構成も紹介はしてある。新書でこれだけ濃密なのは凄い2018/12/07
roughfractus02
2
整数以後を予告して自然数の範囲で終えた上巻から、下巻はさらに実数へ、そして付録には複素数まで範囲が広がる。高木貞治『数の概念』のように整数から始めれば自然数と実数の別の展開があるのが念頭に浮かぶが、この素直な拡張を段階的に辿るのが本書の特徴だろう。実数に拡張する際に、ゼノンのパラドックスと「万世不竭」という中国の古語を並置して、アキレスは亀に追い付かないとするゼノンの「過ち」を指摘する導入に始まり、数の計算がなぜうまく行くのかという数に特有の問いに対して、著者は、拡大可能性と一意性の証明によって解答する。2017/02/20
takao
0
ちゃんとした数学書2016/10/15
げん丸
0
簡単な集合論から始まって、自然数、整数有理数、実数と広がって行って、複素数まで構成されていく様が書かれている。こういう構成の本は、ランダウの「解析の基礎」に始り、古今東西色々な数学の教科書であるらしいのだけど、私レベルでもなんとなくわかる内容であり、かつ、数学の専門書だと云うのに、こんなに安価なのはなかなか無いと思う。 実は最後の方は飛ばし飛ばしで理解が不十分だったのだけど、数というものが何なのか多少解り、30歳にして新しい世界が開けた気がする。 おすすめ。2015/05/27