出版社内容情報
私たちは,数ある動物のなかから,あるものを他ならぬネコとして識別する.物事すべてをそれぞれ固有の類型としてとらえる「パタン認識」は,あらゆる思考の共通地盤にある最も基本的な心の働きである.人間の認識をめぐる哲学的論争とかかわらせて,コンピュータを用いるパタン認識という技術の可能性と限界を明らかにする.
内容説明
私たちは、数ある動物のなかから、あるものを他ならぬネコとして識別する。物事すべてをそれぞれ固有の類型としてとらえる「パタン認識」は、あらゆる思考の共通地盤にある最も基本的な心の働きである。人間の認識をめぐる哲学的論争とかかわらせて、コンピューターを用いるパタン認識という技術の可能性と限界を明らかにする。
目次
1 パタンとパタン認識(日常語中のパタン;何を何と見なすか ほか)
2 データをどう取るか(生のデータと類;不変量としてのパタン ほか)
3 類は実在するか(形相としてのパタン―実念論;名義としてのパタン―唯名論 ほか)
4 コンピューターによるパタン認識(クラスタリングの極値問題;類似性でない凝集力 ほか)
5 パタン認識と人工知能(帰納的推理としてのパタン認識;仮設創造としてのクラスタリング ほか)
著者等紹介
渡辺慧[ワタナベサトシ]
1910‐93年。ハワイ大学名誉教授。1933年東京大学理学部物理学科卒業。専攻、理論物理学、情報科学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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まじぇすた
4
コンピューターサイエンスにおけるパターン認識についての説明であり、通常の教科書では説明が無かったり曖昧にされてしまう「パターン」「特徴」「類(クラス)」「認識」などの定義や考え方を丁寧に説明してくれる。そこでは人の持つ概念や実在性といった哲学的な問題もきちんと分析して何を計算しそれが何を意味するのかを科学として落とし込むのがとにかく凄い。醜い家鴨の子定理はこの著者が提案したのか。クラスタリング問題も微分方程式に帰着させるという発想も凄い。期待していた以上の面白さで大変満足です。2022/11/19
けろ
4
1978年に発行された本。まさに今の機械学習のことをすでにやっており、それと哲学を絡めて我々はどのようにモノを認識しているのかを論じている。モノの集まり(類・class)についての凝集性・エントロピーや、錯視におけるマッハ帯など、自分はプログラマなので読みながら動揺することが多かった。「みにくいアヒルの子の定理」について、理解は紙に書かなければいけなくてハードだったけどおもしろい。こういうことをインターネットのない時代にやっていたのかと感じる2022/12/28
kazutox
3
1978年刊、2022年復刊。パターン認識、つまり事物を分類するとはどういうことか、その作業をコンピュータにさせるには、という話です。科学と哲学にまたがる話は好物ですし、AIが騒がれている今こそベーシックなことを読みたいものです。……とはいうものの、Ⅳ章に出てくる数学の説明には歯が立ちませんでした。2023/05/01
hryk
1
今から50年近く前の本だけど機械学習の話があったりと意外と時間的遠さを感じなかった。任意の二つの対象の類似度は同じであるという「醜い家鴨の仔の定理」は直観的には自明なようにも思えるけれど、数学的に示せることは初めて知った。2023/05/26
愛楊
0
価値と認識は独立ではないというネオ・プラグマティズム的主張。Resemblance Realism。2025/05/03
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