出版社内容情報
社会科学が成り立ちうるのは,人間類型を前提にしてのことである.本書は,デフォウにおいてイギリスの合理的経済人の原型を,マルクスにおいて疎外された階級的諸個人を,ヴェーバーにおいてプロテスタンティズムのエートスを,その時代の典型として探り出すことにより,社会科学における人間の今日的問題に新たな光をあてる.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
96
この本は、著作集を含めもう何回目かの読書です。内容は、さらっと読める入門書的な位置づけで、高校生で文科系に進まれる方が読んでもいいのではないかと思われます。最初に読んだときはロビンソン・クルーソーが出てきてどのような話なのかと思いましたが、うまくはなしをつなげてくれました。2015/09/24
KAZOO
92
先日「ロビンソン・クルーソー」の新訳を読んで思い出して読み直しました。確かに人間の合理的行動を説明するのにはいいのかもしれません。大塚先生の本の中ではラジオの講演録なので読みやすさがあります。そのほかにマルクスとご専門のマックス・ウェーヴァーの話も面白く、「プロテスタントの倫理と・・・」も読み直そうという気がしました。2019/11/14
しょうじ(元・すたんど)
16
1982年以来何度も読んできていて、とうにマスターしていたつもりでいたけれど、かなり難儀した。特に、マルクスの章。全体を通じて、こんなことまで書かれていたのかと感動的ですらあった(特に「19 「世界宗教の経済倫理」における視野の拡大」以降)。懐かしい恩師のお小言を聞いたかのような読了感。まだまだ読み込んでいきたいと思わせられた。2015/09/27
海星梨
6
あっはははどうも無のもの世代ですとでも言えばいいのだろうか?笑。経済の資本主義がうまくいってないように政治の民主主義もうまくいってないのでねいかんともしがたく意思に反して流されるほかない。章立てが一回の講演に基づいているので、思っていたより読みやすかった。2020/04/01
roron
5
NHK講座の内容を書き起こしたものだから、話し言葉でだいぶわかりやすかった。人間の価値観とか行動様式みたいなのとその背景の社会構造との連関を問うのが社会学というか、そういう意味ですごく分かりやすい一冊。ロビンソンが冒険家かと思ったら、合理的な産業資本家の典型例みたいな、へぇって話も多い。各思想家のおおざっぱな理解にも向いてる2019/01/10