出版社内容情報
子種を絶やさぬためといわれて嫁入りさせられ,いくばくも経ずして夫を戦場に送り出した若い農婦は,ひたすらに夫の帰りを待ち侘びた.だが,待つ人は遂に帰ってこなかった.夫を戦場で失なった彼女たちが,戦後二十年間,「家の名誉」と想像を絶する現実の厳しさとの矛盾の中ではいずり廻って生きてきた血と涙の記録.
内容説明
子種を絶やさぬためといわれて嫁入りさせられ、いくばくも経ずして夫を戦場に送り出した若い農婦たちは、ひたすら夫の帰還を待ちわびた。しかし、待つ人は遂に帰らない。“家の名誉”と現実の苛酷さとの矛盾の中ではいずりまわった彼女たちの戦後の苦渋の真実は、過ぎ去った戦争の蔭に葬り去られてよいものであろうか。
目次
第1部 勲章の裏に刻む
第2部 叫ばずに来た二十年
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
モリータ
12
◆1964年刊。著者菊池敬一(1920-99)は岩手県生の児童文学作家・郷土史家(刊行当時中学教師)。大牟羅良(1909-93)は同じく岩手県生の評論家。◆第一部;小さな農村部落(岩手県和賀郡横川目村の北どおり部落、全戸数93戸)の、日中戦争・太平洋戦争で夫を亡くした戦争未亡人9名(その部落の未亡人の全員)から、「その一人一人の歩んできた道を聞書きで記録したもの」。第二部;「やや広範にあちこちの村々で見聞きしたものを土台に、それに共通すると思われる問題点をまとめたもの」。(まえがきより)2022/08/13
4fdo4
10
東北の戦争未亡人が語る。聞き手の声は無く、彼女たちが独り言のように話し続けているかのような構成が、より残酷な人生を浮き立たせる。令和の今では紡ぐことの出来ない声。2023/06/17
ふたば
5
読みたかった本。やっと読めた。戦後二十年ごろの、岩手の田舎で夫を戦争で亡くした未亡人たちが語る戦後。のしかかる「家」と育児、性被害、恩給へのねたみ、そして子とも共有できぬ孤独。それでもなお語られぬ地獄がそこにあり、胸に抱えられたままでいるのだろうと考えるだけで私はどれだけ幸福な世界にいるのだろうと思わずにいられません。2019/03/13
ユー
5
初版は今から約52年前。ご健在の方もいらっしゃると思います。聞き取った言葉は方言もそのままにして執筆されていますので、臨場感がひしひしと伝わって来ます。「未亡人」であるというだけで、何をするにも他人の目を気にしないといけない気苦労。理解されないもどかしさ、矛盾は、並大抵の事ではなかったと思います。2016/01/28
gontoshi
3
戦争で未亡人となった人の悲しみ、苦労が感じられます。 今、改元でお祭りムードですが、過去の戦争を考えてみる いい機会ではと思います。2019/05/03
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