出版社内容情報
一九五四年,アメリカ南部モントゴメリーで差別待遇の廃止を求めた黒人たちは,バス乗車ボイコット闘争に立ち上った.一年の激しい闘いの後,ついに五万の固い団結は勝利し,これが発火点となって黒人革命が燃え上っていく.本書は,「愛と非暴力の思想」を掲げ,この運動を指導したM.L.キング牧師の闘いと内面の記録である.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
52
非暴力には真の闘争心が必要なのだと思います。力づくで何かを成し遂げるのではなく、延々と忍耐という概念の中で、自らの中で血や汗を流し、決して屈することなく自由を求めて行くことは極めて困難でしょう。バスボイコットを約1年間続けますが、この闘いを非暴力でやりとげた力が凄いことです。キング牧師の優れた指導力があったからこそ成し遂げられたことなのでしょう。キング牧師の黒人差別への肉声が聞こえてくるようでした。非暴力で状況を克服していったキング牧師は素晴らしいです。何より数十年前まで黒人差別があったことに驚きます。2014/11/27
Shoji
41
約半世紀前、米国では有色人種を合法的に差別していた。この本に書かれているモンゴメリー・バス・ボイコット事件が1954年の出来事。ヒロシマが1945年なので、モンゴメリー・バス・ボイコット事件はずいぶん最近だ。モンゴメリー・バス・ボイコット事件とは、黒人が自由にバスにさえ乗れないアパルトヘイトに対する黒人によるムーブメント。「I have a dream」で有名なキング牧師が徹底した非暴力主義で黒人分離政策に挑んでいく姿が書かれています。真実のドュメンタリー。読んでおくべき一冊だと思った。2019/05/24
ゆう。
35
アメリカの黒人差別への非暴力の闘いの歩み。差別され抑圧された人びとが、どのようにエンパワーされていくのかよくわかる。非暴力こそ大きな力があるということは、現代的に学ぶ点は多い。私たちは言論表現の自由がある。歩み続ける意義は大きい。2019/12/14
てつのすけ
27
つい最近まで、人種隔離政策が行われていたとは驚きである。しかも、あのアメリカで行われていたとは!非暴力を貫くことは、非常に難しいと思う。なぜなら、暴力によるよりも、さらに大きなエネルギーが必要となるし、真の闘争心がなければ、暴力に頼ってしまうからだ。本書を読み、キング牧師の偉大さを認識した。2019/07/12
ロビン
23
1954年、アメリカ南部のモントゴメリーで差別待遇の廃止を求めて黒人たちが行った所謂バス・ボイコット運動の指導者であったキング牧師が、運動の経緯と非暴力に至るまでの内面の旅路をまとめたもの。今まで読んできた黒人文学の中でも白眉の一冊だった。運動は命懸けであり、キング牧師はのちに命を落とすが、白人の黒人に対する頑迷かつ残酷までの差別に対して、有色人種たる黒人が白人にも成しえなかった非暴力による権利の獲得を成功させ、世界中の心ある人々の尊敬を勝ち取ったことは歴史的な偉業であり、世界への貢献であると感動した。2021/06/20
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