岩波新書<br> ある映画監督―溝口健二と日本映画

岩波新書
ある映画監督―溝口健二と日本映画

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  • サイズ 新書判/ページ数 220p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004140801
  • NDC分類 778.21
  • Cコード C0223

出版社内容情報

日本映画の巨匠,溝口健二.底なしのスランプや次々と襲いかかる家庭の不幸に耐えて,生きた人間をフィルムにうつしとろうと,脚本家にシナリオをたたきつけ,俳優を叱咤し必死の努力を続ける.映画監督である著者が,かつて師事した溝口健二の悲劇的生涯を通して迫る映画監督という仕事の栄光と悲惨.

内容説明

日本映画の巨匠、溝口健二。底なしのスランプや次々と襲いかかる家庭の不幸に耐えて、生きた人間をフィルムにうつしとろうと、脚本家にシナリオをたたきつけ、俳優を叱咤し必死の努力を続ける。映画監督である著者が、かつて師事した溝口健二の悲劇的生涯を通して迫る映画監督という仕事の栄光と悲惨。

目次

監督溝口流
溝口流シナリオづくり
溝口健二の女たち
活動写真が彼をとらえた
女優と監督
作家の生と死

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kinkin

81
溝口健二監督の作品は3本しか見ていない。『雨月物語』『山椒太夫』『近松物語』どれもモノクロの画面の美しさが印象的だった。溝口監督の生涯と仕事について、彼の助監督でもあった新藤兼人氏が思い出を語る。確か映画も作られていたと思う。とにかくワンマンで納得ゆくまで撮影の取り直しを繰り返す。役者を罵倒する、うちに帰れば酒と女、今ならパワハラ、モラハラということだろう。彼については他の本でも読んだことがあるが、細かな私生活までが書かれた本はこれが初めてだった。享年57歳。図書館本 2024/11/23

こうすけ

17
映画監督・新藤兼人が、敬愛する溝口健二監督の生涯を辿った伝記。特に晩年や女性絡みの部分はすごく面白かった。反面、作品論的な部分はそれほどでもない。溝口のもとでシナリオライターを目指していた新藤に言い放った、「これはシナリオではありません、これはストーリーです」という言葉が強烈。そのまま面倒を見るのでなく、切り捨てるところが仕事の鬼らしい。しかし、個人的に溝口映画の良さはまだわからない。2020/11/28

ハンギ

3
大監督溝口健二の人柄や仕事への情熱を、新藤兼人が書いた新書です。一冊で溝口だけでなく、新藤の人生も書いてあるという、ある意味でお得な本です。新藤は最初は美術助手から溝口作品に携わるようになり、戦時中にシナリオライターとなり、東京から、京都仁和寺近くの溝口邸に出入りをするようになる。が、溝口からは「これはシナリオではなく、ストーリーです」と言われてしまいます。その言葉に刺激を受けた新藤はさらにシナリオ修行に打ち込み、賞を獲得するというエピソードが好きですし、古き良き日本という感じがします。2017/01/14

fritzng4

2
溝口健二の人生を殆ど知らないので非常に興味深く読んだ。撮影現場でスタッフと役者を追い込み「鬼の溝口」と呼ばれた男も実際は小心者で官尊民卑思想の二律背反した人間だった。現場では突き放しながらも田中絹代に恋焦がれていたというエピソードなど読むと、とても人間味があってイメージがかなり変わった。溝口作品自体をそう多くは見ていないが作品のジャンルの幅や出来不出来の極端な差があるなど改めて読むと製作年順に見ていきたくなる。それにしても新藤兼人、意外なほどにバサっと作品を酷評する。2025/05/20

Gen Kato

2
再読。ドキュメンタリー作品『ある映画監督の生涯』の副読本?的な一冊。現時点で読み返して驚嘆するのは、取材に応じた顔ぶれの凄さ!そしてインタビュアーが新藤兼人自身なんですから。よくぞフィルム&文章として記録しておいてくれたものです。2014/01/10

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