出版社内容情報
現在日本の住宅は様式的に大混乱の状態にある.十数階の高層住宅とマッチ箱のような小住宅が隣り合せ,屋内は洋間あり日本間あり,規格もさまざまである.このことは日本人の住意識の低さと無関係ではあるまい.屋根,壁,床,窓など生活空間の基本的要素を取り上げ,日本人のすまい観を問い直そうとするユニークなエッセイ.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
愛奈 穂佳(あいだ ほのか)
6
【心の琴線に触れた言葉】その日本の垣のよさは、庭の区画を意識させず、道路や隣の庭までも借景にとりこんで、庭を広く感じさせるところにある。一方、道行く人に対しては、四季おりおりの木々の変化に心をなごませるという点で、まことに親しみ深い囲障である。芭蕉の「よく見ればなずな花さく垣根かな」という句が、日本人の垣に寄せる情をよく表しているが、そういうことを考えあわせると、欧米流に庭の垣をなくして、広い芝生にしなくても、どうやらよさそうだ。日本には日本の生活空間のよさがあるものである。2013/11/20
kiri
1
これは最強に良い本。日本人に生まれたからには建築を考えるときにコレが意識の根底にあるべきだと思った。学生ながら。2025/01/04
msgc3
1
1974年の本。住居に関する古い書籍は、時代を超えて参考になったり、全く参考にならなかったりするが本書は前者。無論住宅供給事情は現代と大きく異なるが、筆者の問題提起や提案は現代にも通ずる事が多い。現代の住宅を考えるヒントが数多くあり、何より着眼点や提案が面白い。2020/01/13
愛奈 穂佳(あいだ ほのか)
0
【ココロの琴線に触れたコトバ】戦後、ストックホルムの駅前に大規模な地下街を開発したが、人びとの評判は芳しくなかった。理由は、そこが日光に浴しえない空間だからである。それにひきかえ、日本の地下街の華やかさを見ていると、日本こそ「地下文化」の国ではないかとおもいたくなる。2015/10/12
kenitirokikuti
0
1974年に刊行。「柱」「窓」「壁」など住宅パーツを題にした24のエッセイ▲本来、「壁 Walc」というものはいわゆるブロック塀のような厚さと硬さを有するものを指すのだなぁ。2015/01/31