出版社内容情報
作家武田泰淳氏は,政治家(宇垣・浜口・近衛・重光・鳩山など)の文章を取りあげて,その人間像を見事に描き出す.少年時代の作文,憂国の心情を吐露したもの,そして遺書などを縦横に解剖する中から,政治を動かした人間と時代の交錯を描き出し,大正・昭和の深部をのぞく興味とともに日本人というものを考えさせるユニークな書.
内容説明
作家武田泰淳氏は、政治家(宇垣・浜口・近衛・重光・鳩山など)の文章を取りあげて、その人間像を見事に描き出す。少年時代の作文、憂国の心情を吐露したもの、艶福の想い出を書いたもの、そして遺書などを縦横に解剖する中から、政治を動かした人間と時代の交鎖を描き出し、大正・昭和の深部をのぞく興味とともに日本人というものを考えさせるユニークな書。
目次
1 「政党政派を超越したる偉人」の文章
2 思いがけぬユウモア
3 二人のロシア通
4 ある不思議な「遺書」
5 近衛の「平和論」
6 A級戦犯の「日記」
7 「政党全滅」をめぐるもろもろの文章
7 徳田球一の正直な文章
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
gtn
17
「日記は、公開の文書とはちがうのであるから、他人の眼を警戒して体裁をつくろう必要はない」と、著者は宇垣一成の日記に着目する。その肝心の内容だが、詰まらない。軍人の気負いの典型。政治家は私記であろうと、死後公けの眼に晒されると踏んでいるからだろう。2024/12/31
あにこ
2
エッセイとも評論ともいいがたい、中途半端な本である。■作者は本書における自らの態度を、あたかも『はじめて玩具店に足を踏み入れた幼児が(中略)さまよい歩いているのに似ている』と自嘲気味に評するが、いかにもその通りと思われる。これで「史記」に言及したのは笑止千万だが、作者がぼんやり意図していたらしきものは分かった。■作者の人物評あるいは世界構想が杜撰だったとは、別段思わない。ただ、泰淳は“政治音痴”だったのでは、と個人的には思う。この本が大して面白くないとしたら、原因はもっぱらそこにあるのではないだろうか。2019/08/08
くらげかも
1
名のある政治家たちの編んだ文章のあやに、彼らの人となりや生き様を想う本。もう「歴史の登場人物」でしかない彼らも、確かにあの時代の空気を吸い、一人の人生を生きていたこと。それを教えられた気がする。2024/03/14
cochou
1
印象的なのは次の政治家。1.宇垣一成の自信満々 2.近衛文麿のアメリカへの独り善がりの思い 3.葵重光の冷徹な観察眼と自堕落な軍人への嫌悪2015/11/20
めめ
1
もっと、昔の政治家本人が書いた文章そのものが読みたかった。文章に対する、著者の意見をあれこれ長々と並べるのではなく。2013/03/09