岩波新書<br> 人身売買

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岩波新書
人身売買

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  • サイズ 新書判/ページ数 226,/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004131106
  • Cコード C0221

出版社内容情報

人身売買とは,対価を受け取って人身の支配権を相手方に移転することである.本書は,最古の史料からはじめて,平安末から室町にかけての人商人,南蛮人の日本人奴隷貿易,江戸時代における身売奉公の実際,明治五年の遊女解放令の帰趨等を詳述する.近代の雇傭法制の前史としてのこの歴史は,今日なおわれわれに多くの課題を残している.

内容説明

人身売買とは、対価を受け取って人身の支配権を相手方に移転することである。本書は、最古の史料からはじめて、平安末から室町にかけての人商人、南蛮人の日本人奴隷貿易、江戸時代における身売奉公の実際、明治5年の遊女解放令の帰趨等を詳述する。

目次

1 古代の人身売買
2 人商人
3 南蛮人の日本人奴隷貿易
4 人売買1円停止と年季奉公
5 身売奉公人請状の成立
6 身売奉公
7 清国人奴隷貿易船事件
8 遊女解放令とその帰趨

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

夜間飛行

194
律令制下では奴婢売券があって人身売買を国が管理した。古くから民の貧窮や雇用のため〝賤〟の身分の者は売買され、〝良〟でも父母には売子権があった。鎌倉幕府は人商人を取り締まって顔に火印を押したが、飢饉の際は黙認し、室町時代には人手不足を補うため倭寇が中国や朝鮮の人々を攫ってきて売った。江戸幕府は人身売買を禁じたが弱者が前借金により働かされた。昭和になっても貧困のためなら仕方ないとして前借金のある者には娼妓稼業を許可(強制)した。そもそも公娼制度が戦後まで残存した。人身売買は長らく政治に組み込まれてきたのだな。2023/09/23

シルク

14
以前、藤野豊先生の『戦後日本の人身売買』って本を読んだ。たいへん興味深く、メモをとりまくり。殊に、敗戦後もズルズル引きずった、こどもの労働力を安く使うための人身売買の話にひきつけられた。あの本が本当に興味深かったものだから、この本も、手に取ったよーなもんだな。こちらは、女性の人身売買に多くの頁を割いている。親に、夫に売られて、性労働に無理やり従事させられる女性達のことが淡々と書かれているが、淡々とした筆であっても、胸がかきむしられるようで、知らず知らず、服の胸のところを片手で握り締めていた。2023/02/03

kuukazoo

12
日本における人身売買の歴史は古く、最古の史料が7世紀のものだからそれ以前から行われていたらしい。律令時代は奴婢を除く身分層の人身売買を禁じたが貧困から妻子を売らざるを得ない者は多かった。平安~室町時代は人買いが横行した。南蛮人も国内市場に便乗し日本人奴隷を海外に売りまくった。江戸時代は人を拐かして売ることは重罪だったが有期の“奉公”という形で借金のカタに世帯主が妻子を売ることは普通にあり、遊郭や工場に労働力を供給し続けた。1971年の復刊。史料多く概要把握で精一杯。しかし初めて知ることも多く勉強になった。2022/06/15

Melody_Nelson

6
日本における人身売買の歴史。古い時代だと身分制度から来る「良民」と「賤民」に分かれ、「賤」の売買は可。さらに、有名な「山椒大夫」のような「人さらい」系の罪は当時から重かったが、男性が自分の妻や娘を売るのは、それよりも罪が軽かったりする。女性は男性の所有物という認識なのだろう(人権なんて概念ない時代だし)。遊女として年季奉公させられる女性たちも哀しいが、時代は下って明治になり、マリア・ルス号の事件が「近代国家」としての試金石となるなど、知らない歴史も多く、古い本ではあるけれど、勉強になった。2022/01/23

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