出版社内容情報
16世紀における人間の平等をめぐる闘いを描く。
内容説明
コロンブスによる新大陸「発見」以後、ヨーロッパ人は原住民を奴隷状態で酷使し、それをアリストテレスの「劣者は優者に支配される」という論理によって正当化した。スペインの聖職者ラス・カサスは原住民の側に立ち、生涯をかけてこの論理に抗う―。十六世紀中葉における人間の平等性をめぐる思想的闘いを感動的に描く。
目次
1 空想としてのアメリカ
2 アリストテレスとアメリカ、一五五〇年まで
3 ラス・カサスとセプルベダの前哨戦、一五四七‐五〇年
4 バリャドリ大論戦、一五五〇‐五一年―舞台装置
5 バリャドリ大論戦、一五五〇‐五一年―アリストテレスの先天的奴隷人説のインディオへの適用
6 バリャドリ大論戦、一五五〇‐五一年―インディオに対する正義の戦争の遂行
7 戦闘の余波、一五五〇‐一九五五年
8 「世界のすべての民族は人間である」
著者等紹介
佐々木昭夫[ササキアキオ]
1933‐2009。東北大学名誉教授。比較文学・比較文化専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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棕櫚木庵
18
1/3) いわゆる「大航海時代」,アメリカの先住民への布教・支配の妥当な方法,正しい態度をめぐって,『パリャド大論戦』(1550--1551)が行われた.この論争を中心に,論争の当事者であるセプルベダとラス・カサスの思想,態度,そしてその周辺を論じる.当時の人々の主張・行動を当時の文脈で評価する一方,G.オーウェルに言及するなど,今日的観点も忘れない記述になっている.そのような観点から著者は,ラス・カサスおよびその提言を取り入れたスペイン国王とインディアス枢機卿の決定を,世界人権宣言に至る2024/06/30
mikio
7
大航海時代、インディアスの原住民に対し、神の名において、またアリストテレスの先天的奴隷人説を適用し侵略を正当化したスペインを、現代を生きる我々が批判することは簡単だが、まさにその時代に、原住民の側にたちその人権を主張し、同胞の行為に異を唱えスペイン国王の心も動かしたラス・カサスという人物がいたことに、敬服の念とともに救いを感じた。2023/12/23
kazutox
5
原著1959年、1974年の訳、2022年の復刊。『インディアスの破壊についての簡潔な報告』で知られるラス・カサスと、「インディオは先天的な奴隷」と主張するセペルベダの間の1550年のバリャドリ論争について。16世紀スペインでのインディオ観は多様であり、実はインディオ擁護派がけっこういて、それなりに力を持っていたという話です。予想以上に面白い本でした。2023/12/26
sk
4
ラス・カサスの議論が詳しく分かる。2023/10/18
samandabadra
1
大学時代の読書