内容説明
新興宗教は、宗教の中の特異なもの、低俗な偽宗教という考え方が一般である。しかしいかなる宗教もそれが発生したときは新興宗教と呼びうる。もっぱら教理の批判に集中していた従来の科学的研究とは違い、日本の主な大衆思想運動の中に新興宗教を位置づけ検討する。
目次
1 日本人の宗教生活
2 明治以後の大衆思想運動
3 戦後の大衆思想運動
4 新興宗教の運動形態
5 新興宗教の提起している諸問題
6 若干の結論
著者等紹介
高木宏夫[タカギヒロオ]
1921‐2005年。1948年東京大学文学部宗教学科卒業。専攻、宗教社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kenitirokikuti
7
図書館にて。昭和34年(1959年)刊行。まえがきから〈現在の新興宗教も、教理だけをとってみると、きわめて卑俗な教えで、後進的・停滞的である。その社会的・政治的な役割においては反動的である。読者の親戚・友人・周りの人びとなどを調べてみれば、常識では考えられないような奇妙な教えを信じて、周りの人を悩ましている新興宗教の信者の一人ぐらいは、かならずみつかるにちがいない。〉創価学会の参議院選・地方選での躍進が革新陣営に衝撃を与えた頃である。最近の革新陣営によるアニメファン勢への印象もそんなところだろう。2022/02/02
sk
6
大衆思想運動として新興宗教をとらえている。古い本だが勉強になる。2019/02/17
gtn
4
本書は1959年初版の復刻。昭和30年代前半の新興宗教に対する見下した感じが如実に出ている。科学史上主義の当時、新興宗教を空想的だと睥睨し、現実社会における運動を、当時幅を利かせていた「共産主義運動」と同じと褒める。今となってはどうか。共産主義は後退し、宗教団体も偽物は消え、残るべきものは残っている。評論家然とパーパーモノ言うのも、後世恥をかく。2019/01/04
本命@ふまにたす
0
近現代の日本思想史の文脈から「新興宗教」を論じた1冊。かなり昔の著作なので、さすがに時代を感じさせるが、特に「革新陣営」と「新興宗教」の運動の比較というのはかなり特徴的。2021/01/16
Eiji Nanba
0
岩波新書のアンコール復刊で入手。新興宗教の成立を大衆思想運動の視点から捉えており、時に革新政党の在り方にも言及する。なかなか骨のある一冊。読み応えがあった。2019/12/30